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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

水疱性角膜症への全層角膜移植術の検討

著者: 田代紘子1 今村直樹1 山下美和子2 宮村紀毅2 北岡隆1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学教室 2独立行政法人国立病院機構長崎医療センター眼科

ページ範囲:P.529 - P.532

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目的:水疱性角膜症に対して行った全層角膜移植術の成績の評価。対象:過去52か月間に全層角膜移植術を行った水疱性角膜症の28症例29眼を回顧的に評価した。年齢は24~82歳(平均72歳)であり,ドナーの年齢は47~92歳(平均74歳)であった。水疱性角膜症の原因は,白内障手術15眼(52%),レーザー虹彩切開術8眼(28%)などであった。術後1~46か月(平均18か月)間の経過を観察した。結果:18眼(62%)で移植角膜の透明治癒が得られた。拒絶反応と内皮機能不全が透明治癒が得られなかった主原因であった。術前に緑内障がある症例では透明治癒率が低かった。術後合併症として緑内障が6眼(21%),拒絶反応と内皮機能不全が各4眼(14%)に起こった。結論:全層角膜移植術による水疱性角膜症の透明治癒率は低く,とくに術後合併症が問題である。

参考文献

1)山川慶太・宮 華青・雨宮次男:長崎大学眼科における過去10年間の角膜移植の検討.臨眼51:1087-1089,1997
2)草野真央・築城英子・今村直樹・他:全層角膜移植術における視力予後への影響因子の検討.臨眼 59:463-466,2005
3)上杉裕子・中田先一・中安清夫・他:水疱性角膜症の全層角膜移植.臨眼 49:1029-1033,1995
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5)子島良平・原田大輔・宮田和典:水疱性角膜症.臨眼 58:114-118,2004
6)前田直之・金 昭姈・久保典子・他:水疱性角膜症に対する全層角膜移植術成績の検討.眼紀38:1279-1284,1987
7)金井尚代・外薗千恵・小室 青・他:レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症に関する検討.あたらしい眼科 20:245-249,2003
8)城間弘喜・友寄絵厘子・荻堂哲司・他:全層角膜移植手術成績.臨眼 58:767-771,2004
9)村松 治・五十嵐羊羽・花田一臣・他:旭川医科大学眼科における過去5年間の角膜移植術の成績.あたらしい眼科 21:1229-1232,2004
10)今泉利雄:水疱性角膜症の臨床.日本の眼科65:1033-1038,1994
11)大黒伸行:全層角膜移植術における角膜内皮細胞.臨眼 51:138-142,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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