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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

妊娠後期に視力低下を訴えたリンパ球性下垂体炎の1例

著者: 高橋希実子1 宇佐美好正1 小出健郎1 堀田喜裕1 西澤茂2

所属機関: 1浜松医科大学眼科学教室 2浜松医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.539 - P.542

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41歳女性の左眼に視力低下と変視症が生じ,中心性漿液性脈絡網膜症と診断された。その1か月後に当科を受診した。矯正視力は右1.5,左0.6であり,眼底に格別の異常はなかった。その3週後に低血糖,多飲,多尿が起こった。すでに妊娠後期であり,眼科受診から1か月後に出産した。汎下垂体機能低下症が疑われ,頭部の画像診断で下垂体腫瘤が発見された。視野検査で両耳側半盲があった。血中コルチゾールの低下があり,プレドニゾロン内服を行ったが,腫瘤は縮小しなかった。下垂体摘出術を行い,病理学的にリンパ球性下垂体炎と診断された。術後9日で視力と視野は正常化した。

参考文献

1)橋本浩三:間脳下垂体疾患(リンパ球性下垂体炎).ホルモンと臨床 41:52-54,2001
2)千原和夫:リンパ球性下垂体炎.内科 91:1442-1443,2003
3)高尾俊弘・橋本浩三:リンパ球性下垂体炎.ホルモンと臨床 51:111-118,2003
4)橋本浩三:リンパ球性下垂体炎.ホルモンと臨床49:69-74,2001
5)Kerrison JB, Lee AG, Weinstein JM:Acute loss of vision during pregnancy due to a suprasellar mass. Surv Ophthalmol 41:402-408, 1997
6)Stelmach M, O'Day J:Rapid change in visual fields associated with suprasellar lymphocytic hypophysitis. J Clin Neuroophthalmol 11:19-24, 1991
7)Tubridy N, Molloy J, Saunders D et al:Postpartum pituitary hypophysitis. J Neuroophthalmol21:106-108, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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