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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

人眼に6年間挿入されていた摘出アクリル眼内レンズのグリスニング評価

著者: 呉竹容子1 松本年弘2 吉川麻里2 重藤真理子2 佐藤真由美2

所属機関: 1横須賀北部共済病院眼科 2茅ケ崎中央病院眼科

ページ範囲:P.559 - P.563

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目的:挿入してから6年後に摘出された眼内レンズ(IOL)でのグリスニング発生状況の実験的検索。症例と方法:86歳男性の両眼に超音波乳化吸引術とアクリルIOLの挿入が行われた。その6年後に右眼IOLが下方偏位したためIOLを摘出した。摘出IOLには1mm2あたり100個のグリスニングがあった。生理的食塩水に摘出IOLと同種の未使用IOLを入れ,食塩水の温度を33°から27°の範囲で変化させ,グリスニングの発生状況を観察した。結果:摘出IOLには温度変化の開始直後からグリスニングが生じ,温度が低下するにつれその量が増加した。未使用IOLにはグリスニングの発生がなかった。結論:眼内に挿入されたアクリルIOLは,長期にわたるグリスニングの発現と消失を繰り返していると構造が変わり,グリスニングが発生しやすくなる可能性がある。

参考文献

1)大鹿哲郎:アクリルソフト眼内レンズ術後2年の臨床成績.臨眼 48:1463-1468,1994
2)小原喜隆:アクリル眼内レンズ.眼科 37:339-346,1995
3)Malley M:AcrySof‘glistenings’and questions of haze. Ophthalmology Times, MAY1-7, 1995
4)Dhaliwal DK, Mamalis N, Olson RJ et al:Visual significance of glistenings see in the AcrySof intraocular lens. J Cataract Refract Surg 22:452-457, 1996
5)三戸岡克哉・柴 琢也・常岡 寛・他:Glisteningにより視力低下を認めた眼内レンズ挿入眼の1症例.眼科 40:1501-1504,1998
6)南 八興・鳥井康司・広井佳野・他:アクリル眼内レンズに発生する混濁.臨眼 53:991-994,1999
7)山村 匡・風間成泰・佐々木満・他:アクリルレンズのグリスニング,囊内固定に関する検討.IOL&RS 18:157-162,2004
8)宮田 章・内田信隆・中島 潔・他:アクリルレンズに発生する輝点とその発生モデル.日眼会誌 104:349-353,2000
9)宮田 章・鈴木克則・朴 智華・他:アクリルレンズに発生する輝点.臨眼 51:729-732,1997
10)宮田 章:新しいアクリルレンズのグリスニングについて.IOL&RS 16:82-84,2002
11)渋谷昭彦:新しい眼内レンズの材質または今後の動向.IOL&RS 14:143-147,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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