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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

臨床報告

ステロイドパルス療法と放射線療法の併用療法が奏効した甲状腺眼症の3例

著者: 石橋真吾1 森田啓文1 田原昭彦1 岡田浩美1 山下美恵1 久保田敏昭1

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.607 - P.614

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発症から5か月以内の甲状腺眼症の3例をステロイドパルス療法と放射線照射で治療した。40歳女性,71歳女性,81歳男性で,3例とも複視を訴え,甲状腺刺激抗体が高値であった。2例に甲状腺機能亢進があり,1例は甲状腺機能正常であった。2例に眼球突出と眼球運動障害があり,1例には視力障害と視神経症があった。磁気共鳴画像検査(MRI)で外眼筋が著明に肥大し,外眼筋内に高信号があった。治療により,全例で視力障害,眼球突出,眼球運動障害,視神経症が改善し,それぞれ9か月,27か月,53か月の経過観察で再発はない。ステロイドパルス療法と放射線照射の併用は,甲状腺眼症の活動期に対する保存的治療として有効であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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