icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

臨床報告

成人の心因性視覚障害―小児と比較した特異性

著者: 一色佳彦1 木村徹1 木村亘1 横山光伸1 正化圭介1

所属機関: 1木村眼科内科病院

ページ範囲:P.627 - P.634

文献概要

8年9か月間に71例131眼を心因性視覚障害と診断した。内訳は20歳以上の成人33例59眼と15歳未満の小児38例72眼であり,病態の特徴,診断した根拠,推定された心因を比較検討した。小児では心因が単純で回復しやすい傾向があり,成人では心因が複雑で治癒が困難な傾向があった。心因性視覚障害は,眼または全身疾患が基礎にあり,多くのストレスが加重して治癒しにくい「高齢型」,ストレスが原因不明で治癒しにくい「不明型」,眼または全身疾患がなくストレスの原因が明確で治癒しやすい「単純型」の3群に分類できた。小児では単純型の頻度が58%であり,成人では高齢型と不明型が合わせて48%あり,単純型は30%であった。

参考文献

1)黒田紀子:心因性視覚障害.眼科 37:851-857,1995
2)山出新一:心因性視覚障害―私の取り組み.神経眼科 19:299-308,2002
3)今井済夫:成人の心因性視力障害.臨眼 42:815-817,1988
4)沢田麻子・佐藤美保・広瀬浩士・他:成人の片眼性心因性視力障害の3例.眼臨 91:113-115,1997
5)山田晴彦・山田英里:角膜異物を契機として心因性視覚障害をきたしたブラジル国籍成人の2症例.臨眼 59:1163-1167,2005
6)中川泰典・木村 徹・木村 亘・他:高齢者の心因性視覚障害11例.臨眼 56:1579-1586,2002
7)加藤 謙・松井瑞夫:眼心身症について.治療47:1797-1805,1965
8)小口芳久:視覚による情報処理機構.臨床応用に向けて.日眼会誌 102:850-875,1998
9)小口芳久:心因性視力障害(総説).日眼会誌104:61-67,2000
10)野田航介・大出尚郎:心因性視力障害と詐病.神経眼科 21:391-399,2004
11)真島行彦:心因性視覚障害と診断されたレーベル病の症例.八子恵子・山出新一・横山尚洋(編):心因性視覚障害.198-203,中山書店,東京,1998
12)黄野桃世:心因性視覚障害様の眼症状を認めたミトコンドリア病の症例.八子恵子・山出新一・横山尚洋(編):心因性視覚障害.204-209,中山書店,東京,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら