icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻5号

2006年05月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (3)

高齢者に発症した原田病の1例

著者: 小林綾子1 高橋嘉晴1 松倉修司1 杉本敬2 河合憲司1

所属機関: 1東海大学医学部専門診療学系眼科 2杉本眼科医院

ページ範囲:P.747 - P.749

文献購入ページに移動
目的:高齢者に発症した原田病の報告。症例と経過:84歳女性が数週前からの両眼の視力低下で受診した。7年前に白内障手術を両眼に受けている。矯正視力は左右とも0.04であった。両眼に角膜後面沈着物と前房の炎症所見があり,眼底には乳頭の発赤浮腫があったが,漿液性網膜剝離はなかった。髄液に細胞増多があり,HLA検査でDR4,DQ4,B54が陽性であった。これらから原田病と診断し,副腎皮質ステロイド点眼で加療した。前眼部の炎症は軽症化したがやや遷延した。乳頭の所見は改善し,眼底は夕焼け状になった。発症から6か月後の矯正視力は右0.3,左0.4になった。以後9か月後の現在まで再発はない。結論:原田病が84歳で発症した例は,文献では初めてである。本症例は原田病としてはやや軽症かつ病状が非典型的であった。

参考文献

1)中村 聡:Vogt-小柳-原田病.丸尾敏夫・本田孔士・臼井正彦・他(編):眼科学Ⅰ.266-268,文光堂,東京,2002
2)金井清和・宇山昌延・岡田寿夫・他:白内障術後に確診された高齢者発症のVogt-小柳-原田病.眼科 25:693-697,1983
3)伊田宜史・松永裕史・宇山昌延:高齢者に発症した原田病の一例.臨眼 50:1769-1773,1996
4)山崎有加里・河原澄枝・大木高志・他:副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行わずに自然軽快した原田病.眼紀 55:691-696,2004
5)山本 司・佐々木隆敏:ステロイド大量投与を行わなかった原田病患者発症10年後の転帰.臨眼 51:855-858,1997
6)江連 司・若倉雅登・井上治郎:ステロイド薬の全身投与を行わなかった原田病.臨眼 57:985-988,2003
7)福島敦樹・山本由美子・西野耕司・他:高齢者にみられた原田病の2例.臨眼 58:503-508,2004
8)藤田敦子・佐々木研二・八木秀和・他:高齢者に発症した脈絡膜剥離を主徴とした原田病の1例.眼紀 55:42-45,2004
9)青田知子・村山耕一郎・米谷 新:原田病高齢者の臨床像とICG蛍光眼底造影の特徴.臨眼 57:979-983,2003
10)飛弾悦子・上西 衛・山中昭夫・他:高齢者に発症した著明な脈絡膜皺壁を伴う原田病の1症例.眼臨 93:270-274,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?