臨床眼科60巻5号

2006年05月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集　(3)

老視に対する調節訓練．第7報．他覚的調節検査で改善を確認した3例

著者： 福與貴秀¹

所属機関： ¹福与眼科医院

ページ範囲：P.809 - P.812

老視に対する調節訓練を18か月以上行い，3例で調節力が改善した。いずれも男性で，年齢は38歳，40歳，43歳である。等速度制御測定装置で得られた調節波形の最大値と最小値の差を調節力とした。3症例すべてで調節力が1D以上改善し，1例では近見障害が消失した。老視に対する調節訓練での効果判定には比較対照試験が必要であるが，今回の結果は初期の老視に対し近用眼鏡を作る前に調節訓練を試みる価値があることを示している。

参考文献

1）福與貴秀・原田美世子・吉田恵美子・他：老視に対する調節訓練．臨眼　48：1309-1311，1994

2）福與貴秀・山本成径・尾碕憲子・他：老視に対する調節訓練．第6報．5年間の総括．臨眼　52：295-297，1998

3）所　敬：屈折異常とその矯正．第2版．179-199，金原出版，東京，1992

4）魚里　博：調節および偽調節の用語．眼科　35：1285-1289，1993

5）Duke-Elder S：System of Ophthalmology. Vol 5. 451-486, Henry Kimpton, London, 1970

6）Bito LZ：Presbyopia. Arch Ophthalmol　106：1526-1527, 1988

7）山本成径・福與貴秀：調節訓練後に著明な改善を見た調節衰弱の1例．眼臨　92：520-521，1998

8）Duan A：Studies in monocular and binocular accommodation with their clinical applications. Am J Ophthalmol　5：865-877, 1992