臨床眼科60巻5号

2006年05月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集　(3)

脈絡膜悪性黒色腫と腎細胞癌と胃癌の3重複癌の1例

著者： 鈴木克彦¹ 山縣祥隆¹ 松葉沙織¹ 三村治¹ 鈴木聡²

所属機関： ¹兵庫医科大学眼科学教室 ²たつの市立御津病院眼科

ページ範囲：P.821 - P.824

目的：既往に胃癌があり，脈絡膜悪性黒色腫と腎細胞癌が発症した症例の報告。症例：72歳男性が左眼視力低下で受診した。10年前に胃癌の手術を受け粘膜内癌であったという。左眼矯正視力は0.3で，滲出性網膜剝離と硝子体側に突出する脈絡膜腫瘍があった。¹²³IによるSPECTで強い集積があり，脈絡膜悪性黒色腫と診断した。全身検索で右腎の4cm大の腫瘍があった。腎摘出を行い組織学的に腎細胞癌と診断された。さらに左眼を摘出し，脈絡膜悪性黒色腫の診断が確定した。結論：本症例は，胃癌，脈絡膜悪性黒色腫，腎細胞癌が併発したきわめて稀な例である。

参考文献

1）金子明博：日本における眼部悪性黒色腫の頻度について．臨眼　33：941-947，1979

2）金子明博：1977年より3年間における日本の眼部悪性黒色腫の頻度について．日眼会誌　86：1042-1045，1982

3）箕田健生・小松真理：脈絡膜転移癌の病態と治療．眼科MOOK 19．眼の腫瘍性疾患．159-167，金原出版，東京，1983

4）箕田健生：ぶどう膜腫瘍の診断と治療．眼紀　34：419-441，1983

5）The Collaborative Ocular Melanoma Study Group：Accuracy of diagnosis of choroidal melanomas in the Collaborative Ocular Melanoma Study. COMS Report No. 1. Arch Ophthalmol　108：1268-1273, 1988

6）後藤　浩：ぶどう膜悪性黒色腫の診断．日本の眼科　71：1077-1080，2000

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8）後藤　浩：脈絡膜悪性黒色腫の臨床診断．日本の眼科　76：795-796，2005

9）中矢家寿宏・林　暢紹・小松丈記・他：123I-IMP SPECTにて特徴的所見を呈した脈絡膜悪性黒色腫の1例．臨眼　56：538-542，2002

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11）田近智之・三河洋一・矢野雅彦・他：乳癌患者に発症した脈絡膜悪性黒色腫の1例．臨眼　53：697-700，1999

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14）黒沢明充：ぶどう膜悪性黒色腫．眼紀　40：235-240，1989

15）坂本英久・上野暁史・坂本泰二・他：早期胃癌と毛様体脈絡膜悪性黒色腫の重複癌の1例．眼臨　92：291-294，1998

16）村上茂樹・桝田英郎・牧野芳久：大腸癌と脈絡膜悪性黒色腫の重複癌の1例．眼臨　84：2462-2463，1990

17）青柳慶史郎・考富士喜久生・矢野正二郎・他：胃癌と関連した重複癌の検討．臨床と研究　79：1593-1597，2002

18）The Collaborative Ocular Melanoma Study Group：Histopathologic characteristics of uveal melanomas in eyes enucleated from the Collaborative Ocular Melanoma Study. COMS report No. 6. Am J Ophthalmol　125：745-766, 1998

19）枝園忠彦・前田宏也・高尾智也・他：眼球摘出後25年を経て孤立性肺転移を来たした脈絡膜悪性黒色腫の1切除例．日本呼吸器外科学会雑誌　16：635-639，2002

20）南　幸諭・石田　栄・大島昌輝・他：眼球摘出後26年後に肺，肝，胃などに転移巣が確認された脈絡膜悪性黒色腫の1例．日本胸部臨床　60：182-186，2001