文献詳細
連載 眼形成手術手技16
文献概要
挙筋腱膜縫着術は,上眼瞼挙筋が瞼板から外れている病態に対し,挙筋腱膜を縫着する手術治療である。さまざまな方法があるが,ここでは挙筋の短縮やミュラー筋の前転は行わずに挙筋腱膜の縫着のみを行う方法を紹介する1~5)。
文中の“white line”とは眼窩隔膜が挙筋腱膜と接続する部分のことで,白くしっかりとした組織なのでこのように呼ぶことがある6,7)。多くの文献では,これは「挙筋と眼窩隔膜との接合部」や「腱膜の巻きあがった端8)」などと表現されるのみである。しかし挙筋腱膜を露出する際に眼窩隔膜を white line 直上で切開するなど,術中の指標として繰り返し出てくる重要な組織であるので,今回はこの用語を使わせていただいた。さらにそのすぐ上に低位横走靭帯(lower-positioned transverseligament)が走行しているとする説や7,9),特に横走靭帯との関連については述べていない文献など,挙筋遠位端の解剖に関してはさまざまな意見が交わされている。手術のための臨床解剖と組織学的裏づけは一致するべきであるが,混沌としているところもあり,今回は臨床解剖を優先して執筆していることをご理解いただきたい。
文中の“white line”とは眼窩隔膜が挙筋腱膜と接続する部分のことで,白くしっかりとした組織なのでこのように呼ぶことがある6,7)。多くの文献では,これは「挙筋と眼窩隔膜との接合部」や「腱膜の巻きあがった端8)」などと表現されるのみである。しかし挙筋腱膜を露出する際に眼窩隔膜を white line 直上で切開するなど,術中の指標として繰り返し出てくる重要な組織であるので,今回はこの用語を使わせていただいた。さらにそのすぐ上に低位横走靭帯(lower-positioned transverseligament)が走行しているとする説や7,9),特に横走靭帯との関連については述べていない文献など,挙筋遠位端の解剖に関してはさまざまな意見が交わされている。手術のための臨床解剖と組織学的裏づけは一致するべきであるが,混沌としているところもあり,今回は臨床解剖を優先して執筆していることをご理解いただきたい。
参考文献
1)Siegel RJ:Surgical anatomy of the upper eyelid fascia. Ann Plast Surg 13:263-273, 1984 2)Siegel RJ:Advanced upper lid blepharoplasty. Clin Plast Surg 19:319-328, 1992
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4) 宇津木龍一・松尾 清・市田正成: 上眼瞼陥凹症.美容外科手術プラクティス.76-81,文光堂,2000
5)Anderson RL, Dixon RS:Aponeurotic ptosis surgery. Arch Ophthalmol 97:1123-1128, 1979
6)Callahan MA, Beard C (井出 醇・訳):眼瞼下垂.166,メディカル葵出版,1999
7)柿崎裕彦・嘉鳥信忠:眼瞼下垂手術―虎の巻.あたらしい眼科 20:1623-1629,2003
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9)Yuzuriha S, Matsuo K, Kushima H:An anatomical structure which results in puffiness of the upper eyelid and a narrow palpebral fissure in the Mongol-oid eye. Br J Plast Surg 53:466-472, 2000
10)久富 潮:形成外科. 眼瞼の形成手術.2,金原出版,1987
11)Gray H, Williams PL(eds):Gray's Anatomy:The Anatomical Basis of Medicine and Surgery. 38th ed. Churchill Livingstone, New York, 1995
12)Tortora GJ, Grabowski SR:Principles of Anatomy and Physiology. 10th ed. Wiley, New York, 2003
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