文献詳細
文献概要
連載 日常みる角膜疾患40
関節リウマチに伴う角膜潰瘍
著者: 川本晃司1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.1130 - P.1132
文献購入ページに移動 症例
患者:74歳,女性
主訴:左眼眼痛,左眼視力低下
現病歴:2004年11月に両眼の眼痛を主訴として近医を受診した。両眼角膜下方の辺縁部に角膜潰瘍が認められた。モーレン潰瘍を疑われ,ステロイド点眼薬と内服薬を処方され経過を観察していた。角膜潰瘍はいったん縮小したがその後,左眼角膜下方傍中心部に角膜潰瘍が再発した。潰瘍は次第に深くなり,菲薄化した角膜は2005年1月に虹彩の嵌頓を伴った角膜穿孔がみられた。同近医で嵌頓部を被覆する目的で,結膜全周切開後に角膜全周にわたる結膜被覆術を施行された後に当科を紹介され受診した。
既往歴:高血圧,高脂血症
家族歴:特記事項なし。
経過:当科初診時の視力は右0.6(1.2),左眼前手動弁(矯正不能)であった。当科受診時前に施行された被覆結膜は剝離し,穿孔部は露出していた(図1a)。結膜充血がみられ,左眼角膜下方傍中心部には角膜穿孔部に虹彩の嵌頓が認められた。穿孔部周囲の角膜実質には浮腫がみられた。右眼下方角膜に菲薄化がみられたが,結膜充血はみられなかった。涙液分泌検査(シルマーⅠ法)では両眼とも5mm以下と涙液減少症がみられた。血液学的検査ではリウマチ因子の上昇がみられた。
角膜移植術の目的で当科に入院となり,同年1月に左眼全層角膜移植術を施行した(図1b)。術後,涙液減少症改善目的で左眼涙点プラグ挿入術を施行した。術後経過は良好であり,2006年5月の最終受診時まで角膜潰瘍の再発は認められていない。
患者:74歳,女性
主訴:左眼眼痛,左眼視力低下
現病歴:2004年11月に両眼の眼痛を主訴として近医を受診した。両眼角膜下方の辺縁部に角膜潰瘍が認められた。モーレン潰瘍を疑われ,ステロイド点眼薬と内服薬を処方され経過を観察していた。角膜潰瘍はいったん縮小したがその後,左眼角膜下方傍中心部に角膜潰瘍が再発した。潰瘍は次第に深くなり,菲薄化した角膜は2005年1月に虹彩の嵌頓を伴った角膜穿孔がみられた。同近医で嵌頓部を被覆する目的で,結膜全周切開後に角膜全周にわたる結膜被覆術を施行された後に当科を紹介され受診した。
既往歴:高血圧,高脂血症
家族歴:特記事項なし。
経過:当科初診時の視力は右0.6(1.2),左眼前手動弁(矯正不能)であった。当科受診時前に施行された被覆結膜は剝離し,穿孔部は露出していた(図1a)。結膜充血がみられ,左眼角膜下方傍中心部には角膜穿孔部に虹彩の嵌頓が認められた。穿孔部周囲の角膜実質には浮腫がみられた。右眼下方角膜に菲薄化がみられたが,結膜充血はみられなかった。涙液分泌検査(シルマーⅠ法)では両眼とも5mm以下と涙液減少症がみられた。血液学的検査ではリウマチ因子の上昇がみられた。
角膜移植術の目的で当科に入院となり,同年1月に左眼全層角膜移植術を施行した(図1b)。術後,涙液減少症改善目的で左眼涙点プラグ挿入術を施行した。術後経過は良好であり,2006年5月の最終受診時まで角膜潰瘍の再発は認められていない。
参考文献
1)Michael S Conners RDB, Padousis JR, Lubniewski AJ:Corneal disease in rheumatoid arthritis. In:Krachmer JH, Mannis MJ, Holland EJ(eds):Cornea. 2nd ed. 1207-1224, CV Mosby, St. Louis, 2005
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