臨床眼科60巻8号

2006年08月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集　(6)

巨大虹彩結節を呈したサルコイドーシスの1例

著者： 本村由香¹ 安部ひろみ¹ 木許賢一¹ 中塚和夫¹ 大島裕司²

所属機関： ¹大分大学医学部脳神経機能統御講座感覚運動医学分野・眼科学 ²北九州医療センター眼科

ページ範囲：P.1425 - P.1428

文献概要

目的：巨大虹彩結節があるサルコイドーシス症例の報告。症例と経過：19歳男性が左眼視力低下で受診した。矯正視力は右1.2，左手動弁であった。左眼に前房の1/4の大きさの白色結節，右眼に軽度の虹彩炎があった。全身検査でサルコイドーシスと診断した。プレドニゾロンを初回量60mg/日での経口投与を開始し，漸減とともにベタメタゾンの結膜下注射を併用した。結節は縮小し，4か月後に消失した。結論：サルコイドーシスによる巨大虹彩結節は片眼性で若年者に生じる特徴がある。ステロイド薬の全身投与と結膜下注射が奏効した。

参考文献

1）沖波　聡：サルコイド性ぶどう膜炎．あたらしい眼科　11：19-24，1994

2）小竹　聡：サルコイドーシス．あたらしい眼科8：1197-1203，1991

3）伊比健児・村上忠正・高橋　広・他：巨大虹彩結節が多発したサルコイドーシスによる片眼性虹彩毛様体炎の1例．臨眼　49：505-508，1995

4）Cohen SB, Peyman GA：Sarcoid granuloma simulating amelanotic melanoma of the iris. Ann Ophthalmol　18：343-345, 1986

5）Mader TH, Chismire KJ, Cornell FM：The treatment of an enlarged sarcoid iris nodule with injectable corticosteroids. Am J Ophthalmol　106：365-366, 1988

6）波田道子・山本博之・波田順次・他：巨大虹彩結節を呈したサルコイドーシスの1例．眼臨93：109-111，1999

7）東　永子・大原國俊・山口恵子・他：巨大なBusacca結節を認めた眼サルコイドーシスの1例．眼科　43：1083-1086，2001

8）吉田泰伸・江本一郎・横谷　智・他：大きな虹彩結節を認めたサルコイドーシスの1例．眼科34：1507-1511，1992

9）中井理科・杤久保哲男・高橋博子・他：ステロイド大量療法が奏効した巨大サルコイド結節．あたらしい眼科　16：269-271，1999

10）吉田ゆみ子・浦野　哲・田口千香子・他：久留米大学におけるぶどう膜炎の臨床統計．眼紀55：809-814，2004