臨床眼科60巻8号

2006年08月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集　(6)

後囊研磨に適したcapsule polishing sleeveの考案

著者： 山本早弥子¹ 谷口重雄¹ 西村栄一¹ 早田光孝¹ 西原仁¹

所属機関： ¹昭和大学藤が丘病院眼科

ページ範囲：P.1463 - P.1466

目的：超音波水晶体乳化吸引術で後囊に付着した残留皮質を吸引する際に，灌流吸引チップのスリーブで後囊研磨をする新しい方法の記述と成績の報告。対象と方法：スリーブはシリコーン製で，先端が灌流吸引チップを包む形になっている。従来の灌流口2個に加え，チップの吸引口と一致してスリーブにも吸引口がある。チップの先端余剰部分で後囊が研磨できる。摘出豚眼10眼と臨床例20眼に角膜切開による通常の超音波水晶体乳化吸引術を行い，灌流吸引時にこれを使用した。結果：後囊に付着した皮質はチップのスリーブの先端で後囊を研磨し，吸引をかけずに容易に除去できた。創口挿入時や後囊研磨時の角膜内皮への接触はなく，後囊の視認性が良好で，破囊例はなかった。結論：この灌流吸引チップのスリーブを使用すると安全性の高い後囊研磨ができ，灌流吸引中の後囊破損の回避に有効である。

参考文献

1）水流忠彦：白内障手術の術中・術後合併症とその頻度．臨眼　58（増刊）：12-18，2004

2）西村栄一・陰山俊之・綾木雅彦・他：大学病院における1万例以上の小切開超音波白内障手術統計―術中合併症の検討．眼科　45：237-240，2003

3）谷口重雄：後嚢破嚢，硝子体脱出．臨眼　58（増刊）：74-79，2004

4）Turtz AI：Sandblasted end-cutting tip for posterior capsular vascuuming and polishing. Am Intra-Ocular Implant Soc J　11：73, 1985