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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (6)

長期間経過観察することができた網膜細動脈瘤の1例

著者: 田片将士1 岡本紀夫1 三村治1

所属機関: 1兵庫医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1471 - P.1474

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目的:両眼に発症した網膜細動脈瘤の長期観察例の報告。症例:66歳女性が急激な左眼の視力低下で受診した。矯正視力は右1.2,左0.09であり,左眼の黄斑部に網膜下出血,網膜内出血,網膜前出血があった。網膜細動脈瘤を疑い,フルオレセイン蛍光眼底造影を行ったが,出血のため細動脈瘤は確認できなかった。右眼には上耳側に網膜動脈を囲む白濁が2か所あった。その後左眼の出血が吸収され,網膜細動脈瘤であることが確認された。6年間の経過観察中に右眼の白濁部に細動脈瘤が生じたが,破裂などはなく,右1.0,左0.6の最終視力を維持している。結論:病型と時期が異なる網膜細動脈瘤が両眼に発症することがある。

参考文献

1)Robertson DM:Macroaneurysms of the retinal arteries. Trans Am Acad Ophthalmol Otolaryngol77:55-67, 1973
2)坂本博士・大久保享一・栗本晋二:Retinal macroaneurysm.眼紀 34:1320-1327,1983
3)吉岡久春・杉田 隆・山口佳生:網膜小動脈瘤の7例.臨眼 31:175-185,1977
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5)丸山泰弘・山崎伸一:網膜細動脈瘤53眼の視力の転帰.臨眼 45:1506-1512,1991
6)計屋隆子・永石順子・白井 彰・他:Retinal macroaneurysmの3例.眼紀 35:2603-2607,1984
7)田代忠正・佐藤末隆・関 和俊・他:両眼の対称部位に発生した網膜細動脈瘤.明海大歯誌27:84-89,1998
8)松井瑞夫:図説網膜血管異常.111-119,世界保健通信社,東京,1984
9)Chisholm IA, Chawla JC, Wanjiani MR:Retinal macroaneurysms. In:Cant JS(ed):Vision and Circulation. 323-329, Henry Kimpton, London, 1976

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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