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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (6)

眼窩先端部型特発性眼窩炎症2例の臨床的特徴

著者: 伊藤和彦1 久保田敏信1 廣瀬浩士1

所属機関: 1国立病院機構名古屋医療センター眼科

ページ範囲:P.1481 - P.1484

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目的:眼窩先端部型特発性眼窩炎症2例の報告。症例と経過:2例とも女性で,年齢は70歳と58歳であった。いずれも片眼性で,患眼の初診時の矯正視力はそれぞれ零と0.04であった。CT検査で眼窩先端部にびまん性の腫瘤があった。メチルプレドニゾロンによるパルス療法で,視力は零から0.3に改善し,眼球運動制限もなくなり,眼窩内の腫瘤は消失した。他の1例は治療に反応しなかったので,メトトレキサート内服に変更した。視力は0.04から1.0に改善し,眼球運動制限がなくなり,眼窩内の腫瘤は消失した。結論:眼窩先端部型特発性眼窩炎症は著しい視力低下と眼球運動制限を特徴とする。副腎皮質ステロイドによるパルス療法またはメトトレキサート内服が奏効することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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