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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻9号

2006年09月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (7)

血友病A患者にみられた鈍的眼外傷の1例

著者: 鳴美貴仁1 林央子1 安宅伸介1 田中倫子1 村澤牧子1 河野剛也1 白木邦彦1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学

ページ範囲:P.1653 - P.1656

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要約 目的:鈍的外傷で生じた前房出血に対し血液凝固第Ⅷ因子製剤が奏効した血友病A患者の報告。症例:ソフトボールが左眼に当たり,その直後から眼痛と視力障害が生じ,その翌日受診した。左眼視力は手動弁で,眼圧は37mmHgであった。左眼角膜は浮腫状で,前房は出血で充満していた。血液凝固第Ⅷ因子が3%であり,正常値が80~140%であるのに対し著しく低かった。出血時間は2分30秒と正常であった。治療として血液凝固第Ⅷ因子製剤を点滴投与し,前房洗浄を行った。受傷の3週後から硝子体出血の減少がはじまり,視力は受傷5週後に0.02,9週後に1.5に改善した。結論:血友病A患者に生じた外傷性前房出血に対し,血液凝固第Ⅷ因子製剤を全身投与することで前房洗浄が可能になり,硝子体出血が自然寛解した。

参考文献

1)吉岡 章・白幡 聡・高松純樹・他:ヘモフィリア治療の最前線・血友病の診断と治療.8-111,医科学出版社,2002
2)布引けい子・萩田昭三・河内英子:血友病A患者における外傷性前房出血の1例.広島医学37:56-59, 1984
3)Yasuna E:Management of traumatic hyphema. Arch Ophthalmol 91:190-191, 1974
4)Walton W, von Hagen S, Zarbin M:Management of traumatic hyphema. Surv Ophthalmol 47:297-334, 2002
5)Read J, Goldberg MF:Comparison of medical treatment for traumatic hyphema. Trans Am Acad Ophthalmol Otolaryngol 78:799-815, 1974
6)Edwards WC, Layden WE:Traumatic hyphema. A report of 184 consecutive cases. Am J Ophthalmol75:110-116, 1973
7)大竹雄一郎:角膜血染.眼科 47:213-215,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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