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特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (7)
上顎洞手術の局所麻酔によって眼球二重穿孔をきたした1例
著者: 本間知佳1 金田正博1
所属機関: 1東濃厚生病院眼科
ページ範囲:P.1665 - P.1668
文献購入ページに移動要約 目的:上顎洞炎の手術の際,麻酔用注射針で眼球の二重穿孔が生じた症例の報告。症例:36歳女性が右急性上顎洞炎に対し,上顎洞根治手術と歯根先端切除術を受けた。術中に上顎洞上部のとう痛があり,エピネフリン含有1%リドカインの局所浸潤麻酔を23Gカテラン針で上顎洞上壁粘膜下に追加投与し,その際に眼窩底を貫き,眼球の二重穿孔が生じた。5時間後の検査で右眼窩周囲の腫脹と散瞳があり,対光反射が消失し,視力は0.03であった。同日,穿孔部の眼底にレーザー光凝固を施行した。翌日には右眼の対光反射の遅延があったが,視力は1.2に回復し,以後順調な経過をとった。結論:副鼻腔の手術の際に眼窩内に注射針が穿孔する可能性がある。
参考文献
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