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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻1号

2007年01月発行

文献概要

臨床報告

成人代償不全型先天性上斜筋麻痺に対する下斜筋後転術の矯正効果

著者: 末丸純子1 長谷部聡1 古瀬尚1 木村修平1 大月洋1

所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学教室

ページ範囲:P.63 - P.68

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要約 目的:代償不全型先天性上斜筋麻痺の24例に対して行った下斜筋後転術の成績の報告。症例と方法:症例の性別は男性13例,女性11例で,年齢は16~82歳(平均48歳)であった。初回手術として,球後麻酔下で患眼の下斜筋後転術10mmを施行した。術前と術後に視能訓練士が行った斜視検査データを解析した。結果:術後の過矯正はなく,第1眼位,内転位,患側頭部傾斜での上下偏位を改善するうえで有効であった。患側への頭部傾斜の際の上下偏位の改善効果は,第1眼位における上下偏位の矯正効果を上回らなかった。遠見での両眼単一視の獲得は必ずしも良好ではなかった。結論:患眼の下斜筋後転術は,成人の代償不全型先天性上斜筋麻痺に対して概して有効ではあるが,その効果には限界がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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