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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻1号

2007年01月発行

文献概要

臨床報告

術後長期経過後に発症したMRSAバックル感染の2例

著者: 中野早紀子1 山本禎子2 上領勝1 今野伸弥1 山下英俊1

所属機関: 1山形大学医学部視覚病態学講座 2山形大学医学部附属病院眼細胞工学講座

ページ範囲:P.97 - P.102

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要約 目的:網膜剝離に対し強膜輪状締結術(バックル手術)が行われ,その長期間後にMRSAにより眼内感染が生じた2症例の報告。症例:症例は72歳女性と78歳男性であり,それぞれ13年と19年前に網膜剝離に対し輪状締結術が行われ,網膜は復位していた。2症例とも結膜充血で受診し,結膜浮腫,眼脂,眼痛があり,眼内炎が併発していた。CT検査でバックル周囲に膿瘍があった。経過:両症例ともバックルからの感染と考え,バックルを除去した。以後の経過は良好であった。バックルからMRSAが検出された。結論:CT検査はバックル周囲にある膿瘍の診断に有用であった。バックル除去が有効であったが,網膜剝離手術から長期間後にMRSAによる感染が起こった理由は不明である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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