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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

水晶体亜脱臼を合併した落屑緑内障に対する手術術式

著者: 石井美奈1 浦野哲1 鶴丸修士1 原善太郎1 手島靖夫2 山川良治1

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学講座 2公立八女総合病院眼科

ページ範囲:P.1843 - P.1846

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要約 目的:水晶体亜脱臼がある落屑緑内障4眼に対する手術成績の報告。症例と方法:過去1年間に落屑緑内障と診断し,経過中に水晶体亜脱臼が生じた4例4眼を対象とした。すべて男性で,年齢は67~90歳(平均82歳)であり,視力は0.05~0.4であった。薬物治療下の眼圧は13~28mmHg(平均21mmHg)であった。術式として自己閉鎖創による水晶体囊内摘出,前部硝子体切除,眼内レンズ挿入,同一創からの線維柱帯切開術を行った。術後3.5~8か月(平均6か月)の経過を観察した。結果:術後視力は0.3~1.2の範囲に改善し,眼圧は17mmHg以下に維持され,薬剤スコアは術前の1~4点が0~1点に改善した。視野の進行はなかった。合併症として一過性の硝子体出血が全例にあり,1眼に軽いデスメ膜剝離が生じ,角膜内皮細胞数が減少した。結論:水晶体亜脱臼がある落屑緑内障4眼に対し,本術式は有効であった。

参考文献

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10)粟井奈々子・布田龍佑・宮川朋子・他:落屑症候群における角膜内皮細胞数の変化.あたらしい眼科 23:801-803,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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