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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

早期診断・治療開始によって治癒したアカントアメーバ角膜炎の1例

著者: 高岡紀子1 廣渡崇郎1 太刀川貴子1 秋山健一2 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科 2秋山眼科医院

ページ範囲:P.1879 - P.1883

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要約 目的:早期診断と治療で治癒したアカントアメーバ角膜炎の報告。症例:35歳女性が10日前からの左眼異物感で受診した。ソフトコンタクトレンズを3年前から週に1回装用していた。矯正視力は右1.2,左1.0で,左眼角膜に輪部から中央に向かう線状の混濁と細胞浸潤があった。上皮欠損はなかった。コンタクトレンズケース内部に水垢が付着していた。角膜擦過物とコンタクトレンズからアカントアメーバの栄養体が培養された。治療として頻回の角膜搔爬,イトラコナゾールの内服,ガチフロキサシン点眼などを行った。擦過物の培養は,治療開始から11日後に陰性化した。結論:アカントアメーバ角膜炎では早期治療が望ましく,このために角膜擦過物の培養など,早期に診断するための努力が必要である。

参考文献

1)竹内 勤:アメーバによる眼感染症―アカントアメーバ角膜炎.眼科 33:1347-1353,1991
2)Visvesvara GS:アカントアメーバの生物学およびアカントアメーバ角膜炎の疫学.眼科 33:719-726, 1991
3)石橋康久・松本雄二郎・渡辺亮子・他:Acanthamoeba keratitisの1例.日眼会誌 92:963-972,1988
4)太刀川貴子・石橋康久・藤沢佐代子・他:アメーバ性角膜炎―本邦における報告例の検討.日眼会誌 99:68-75,1995
5)石橋康久:アカントアメーバ角膜炎37自験例の分析.眼科 44:1233-1239,2002
6)石橋康久:アカントアメーバ角膜炎.猪俣 孟・玉井 信・本田孔士・他(編):眼科学大系2A.215-218,中山書店,東京,1993
7)鈴木 崇:アカントアメーバが疑われたら.眼科診療プラクティス101(前眼部疾患のトラブルシューティング):39-40,2003
8)Garner A:Pathogenesis of acanthamoebic keratitis:hypothesis based on a histological analysis of 30 cases. Br J Ophthalmol 77:366-370, 1993
9)十川治恵・立川貴寿・前尾直子・他:前房水検査で診断されたアカントアメーバ角膜炎.あたらしい眼科 17:381-384,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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