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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

原田病のステロイド大量療法漸減中に発症した中心性漿液性網脈絡膜症の1例

著者: 山内尚子1 末野利治1 岩崎紳一郎1 森田大1 高橋嘉晴1 河合憲司1

所属機関: 1東海大学医学部専門診療学系眼科学教室

ページ範囲:P.1909 - P.1912

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要約 目的:原田病に対し副腎皮質ステロイドを大量投与し,その漸減中に中心性漿液性網脈絡膜症が発症した症例の報告。症例と所見:37歳男性が数日前からの両眼の眼痛,視力低下,耳鳴で受診した。矯正視力は右0.15,左0.6であり,両眼に漿液性網膜剝離があった。髄液に細胞数増加があり原田病の不全型と診断した。副腎皮質ステロイドの大量投与で網膜剝離は軽快し,12日後に左右とも1.2の視力に回復した。以後プレドニゾロンを少量投与していたが,発症から6か月後に右眼黄斑部に漿液性網膜剝離が生じ,蛍光眼底造影で中心性漿液性網脈絡膜症と診断した。プレドニゾロンの中止後4週間で網膜剝離は消失した。結論:原田病では副腎皮質ステロイドによる加療中に,中心性漿液性網脈絡膜症が発症することがある。

参考文献

1)遠藤加寿子・沼賀二郎・蕪城俊克・他:Vogt-小柳-原田病に対するステロイドパルス療法.眼紀 52:471-474,2001
2)安積 淳・岡田アナベルあやめ・岩永洋一・他:Vogt-小柳-原田病(症候群)の診断と治療.眼科 47:929-955,2005
3)中林 條・中尾陽子・吉貴弘佳・他:長期間経過後に再発したと思われる原田病の1例.眼紀 53:825-828,2002
4)若倉雅登・石川 哲:中心性漿液性網脈絡膜症に対するコルチコステロイド剤の影響について.臨眼 34:123-129,1980
5)増田寛次郎・臼井正彦・宇山昌延・他(編):ぶどう膜炎.82-92,医学書院,1999
6)古泉英貴・飯田知弘:中心性漿液性網脈絡膜症の病態と治療.あたらしい眼科 22:567-572,2005
7)尾﨏雅博:中心性漿液性網脈絡膜症.眼科 42:1509-1515,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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