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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

メルファランの選択的眼動脈注入による網膜芽細胞腫の眼球保存療法

著者: 高木誠二1 金子明博1 金子卓1 竹内忍1 高橋啓2 大原関利章2 毛利誠3

所属機関: 1東邦大学医療センター大橋病院眼科学第2講座 2東邦大学医療センター大橋病院第2病理 3東邦大学医療センター大橋病院放射線科

ページ範囲:P.1923 - P.1930

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要約 目的:メルファランの眼動脈注入による網膜芽細胞腫の治療報告。対象:過去18か月間に網膜芽細胞腫で眼球保存療法の適応があると判断した7例10眼を対象とした。男児2例,女児5例であり,4例が片眼性,3例が両眼性であった。年齢は1か月~1年8か月(中央値1年4か月)であった。Reese-Ellsworth分類による病期は,Ⅰbが3眼,Ⅱaが4眼,Ⅲbが1眼,Ⅴbが2眼であった。方法:初回治療としてVECによる全身化学療法を2コース行い,以後は眼底所見に応じて,メルファランの眼動脈と硝子体注入,経瞳孔的温熱療法,ルテニウムの強膜縫着,眼球摘出を行った。結果:10か月間に31回の選択的眼動脈注入を10眼すべてに行った。転帰は治癒5眼,治癒見込1眼,治療中2眼,眼球摘出2眼であり,合併症はなかった。結論:メルファランの眼動脈注入による網膜芽細胞腫の治療は,全身への影響が少なく,入院期間が短縮され,安全で有効な眼球保存療法である。

参考文献

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4)毛利 誠:眼球内で再発した網膜芽細胞腫に対する,眼球保存療法のために抗癌剤の選択的注入法の開発.慶応医学 70:679-687,1993
5)Yamane T, Kaneko A, Mohri M:The technique of ophthalmic arterial infusion therapy for patients with intraocular retinoblastoma. Int J Clin Oncol 9:68-73, 2004
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8)鈴木茂伸・金子明博:網膜芽細胞腫の治療成績.小児外科 36:133-137,2004
9)柳沢隆昭・金子明博:網膜芽細胞腫.小児がん 42:373-384,2005
10)金子明博:網膜芽細胞腫のマネージメント:いかに患児の眼球を残すか.あたらしい眼科 19:585-591,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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