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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

非ステロイド性抗炎症薬内服中の結合組織病患者2例に発生した角膜融解穿孔

著者: 増田郁也1 松尾俊彦1 松下恭子1 岡本和夫1 大月洋1

所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学教室

ページ範囲:P.1931 - P.1934

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要約 目的:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による加療中に角膜融解と穿孔を起こした結合組織病患者2例の報告。症例:2例とも女性で,年齢はそれぞれ62歳と79歳である。1例には全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎,Sjögren症候群を内容とする混合性結合組織病が30年前からあり,20年間プレドニゾロンを内服していた。4年前に白内障手術を両眼に受けた。2週前に帯状疱疹ならびにヘルペス性角膜虹彩炎と診断され,NSAIDであるチアプロフェン酸の内服を開始した。他の1例は関節リウマチが40年前からあり,5か月前からアセチルサリチル酸を内服していた。所見と経過:2症例とも片眼性の角膜穿孔が起こった。NSAIDの内服を中止し,1例では14日後,他の1例では10日後に角膜穿孔は上皮化し,前房が形成された。結論:NSAIDの内服により角膜融解と穿孔が起こる可能性がある。

参考文献

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2)Asai T, Nakagami T, Mochizuki M et al:Three cases of corneal melting after instillation of a new nonsteroidal anti-inflammatory drug. Cornea 25:224-227, 2006
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5)宮本和久:周辺部角膜潰瘍,角膜炎,強膜炎.小竹 聡・中村 聡・大野重昭・他(編):眼の自己免疫疾患.NEW MOOK眼科4.95-102,金原出版,東京,2003
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7)Fini EM, Cook JR, Mohan R:Proteolytic mechanism in corneal ulceration and repair. Arch Dermatol Res 290:12-23, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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