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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻10号

2007年10月発行

文献概要

臨床報告

水晶体囊下硝子様変性の1例

著者: 小西隆裕1 恩田健1 黒木礼子1 堀内二彦1

所属機関: 1堀内眼科

ページ範囲:P.1949 - P.1953

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要約 目的:水晶体前囊下に前囊と癒着する増殖組織があり,前囊下硝子様変性と解釈できる症例の報告。症例:20歳男性が2年前からの左眼視力障害で受診した。小児期から気管支喘息とアトピー性皮膚炎で加療中であった。所見:矯正視力は右1.0,左0.04であり,左眼のみに白色顆粒状の前囊下混濁を伴う過熟白内障があった。超音波乳化吸引術の際,水晶体前囊が硬い前囊下組織と癒着し,連続円形切囊と前囊下組織の除去が困難であった。除去した水晶体は以下の組織学的特徴を示した。前囊の厚さは5.2μmと薄く,前囊上皮細胞はほとんどなかった。厚さ79μmの前囊下組織は前囊と密着し硝子様変性をしていた。前囊下組織と同様な病的組織が後囊下にもあった。前後囊下の硝子様変性に囲まれた水晶体中央部には核がなく,皮質のみがあった。結論:水晶体囊下の硝子様変性が過熟白内障に併発することがある。

参考文献

1)平岡満里・小嶋直介・増田洋一郎・他:サル水晶体の組織学的研究.日眼会誌 110:370-378,2006
2)Kobayashi Y:Electron microscopic studies of human lens. Jpn J Ophthalmol 14:29-40, 1970
3)小林康紀:人眼水晶体の電子顕微鏡学的研究.日眼会誌 73:1098-1130,1969
4)浜井保名:老人性白内障の病理像.眼科Mook 45.61-72,1990
5)松浦啓之:白内障.眼科Mook 28.190-207,1986
6)Hogan MJ, Zimmerman LE:Ophthalmic Pathology. 655-687, Saunders, Philadelphia, 1952
7)水野有武:光・眼・視覚.34-42,産業図書,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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