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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 1.周産期異常

先天感染

著者: 根岸貴志1 横山利幸2

所属機関: 1埼玉県立小児医療センター眼科 2順天堂練馬病院眼科

ページ範囲:P.18 - P.22

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はじめに

 妊娠中または分娩時において,母体保有の各種微生物の胎児への感染形態を総称して垂直感染というが,これに対し生後の環境状態からの感染形態を水平感染という。垂直感染には,出生前の子宮内感染と出生児の経産道感染とがあり,子宮内感染は血行性の経胎盤感染と羊水からの羊水感染に分かれる。ここでは眼疾患を起こしうる子宮内感染について述べる。

 垂直感染の胎児への影響は,母体の感染形態や感染時期と妊娠週数の関係によるが,母体が初感染であった場合の影響が最も大きい。胎児奇形,胎児発育異常,胎内死亡などの発生に関与し,流早産,前期破水などの病態にも関係する。

 経胎盤感染ではTORCH症候群(トキソプラズマtoxoplasma,梅毒treponema,風疹rubella virus,サイトメガロウイルスcytomegalovirus,単純ヘルペスherpes simplex,その他othersによる奇形症候群)や,肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV),ヒトT細胞白血病ウイルス,パルボウイルスなどの母児感染が重要である。

参考文献

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13)小林康彦:先天梅毒.眼科診療プラクティス編集委員会(編):眼科診療ガイド.610,文光堂,東京,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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