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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム 眼科研究こぼれ話

眼科研究と動物実験―動物たちに感謝をこめて

著者: 三島一晃1

所属機関: 1長崎大学

ページ範囲:P.23 - P.23

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 医学部を卒業し医師国家試験に合格すると,ほとんどの学生が臨床研修に入り臨床医として仕事をする。臨床経験を積み,技術を習得して患者の治療にあたるわけであるが,医学は日進月歩であり,去年まであれだけ流行していたものが結局はあまりよい結果が得られないということで廃れてしまうことも少なくなく,また逆に副作用・合併症が指摘され中止になっていた薬剤がある条件下では復活したりすることも珍しくはない。このような新治療法はさまざまな研究,特に動物実験などを中心に行われて人間に応用されているのである。研究は学者がやればいいことで,臨床医のわれわれがやることではないという意見もあるが,私は臨床医が自分の立場で患者・病気のことを考えて実験にかかわっていなければ患者に応用できるようなものにはならないと考える。実験をやっている頃は,この研究が何の役に立つのだろうと考えることも多かった。しかし,研究にも下積生活が必要で,そういったなかで研究技術,思考能力が養われていき,それが臨床に生かされていくものではないかと思っている(実際自分でどれだけ生かされているかは疑問ではあるが)。

 いまではこのようなちょっと古くさいかもしれない考えと,臨床の現場で患者の苦情にちょっと嫌気がさしたということもあって,私は大学院に進んだ。研究テーマは教授から与えられたが,いきなりこれについて研究しろと言われてもどうしたらいいのか皆目見当がつかない。研究計画の立て方,文献の探し方,動物の飼い方,実験方法,データの分析の仕方など,どれをとってもチンプンカンプンである。そこで指導医の先生にたずねても「後で,後で」と言われ互いに都合のつく時間がなく,結局夜中になってしまう。いざ実験するとなると昼間の臨床の仕事で疲れて集中力に欠けたり,当直のときにまとめてやろうとすると急患がたくさん来て緊急手術になったりして最初の1年間はほとんど何もできなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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