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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 3.代謝異常

アミノ酸代謝異常とその他の疾患

著者: 中村誠1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器外科学講座(眼科学)

ページ範囲:P.53 - P.57

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はじめに

 先天アミノ酸代謝異常は,生体内でアミノ酸が吸収されて,代謝,排出される過程のどこかに障害があるために,アミノ酸の過剰あるいは欠乏が生じて発症する疾患である。主に遺伝的原因によって起こり,通常全身症状を伴う。わが国では,フェニルケトン尿症,メープルシロップ尿症,ホモシスチン尿症,ガラクトース血症に対して新生児マス・スクリーニングが実施され,早期発見,早期治療が施行されている1)

 眼症状を伴う先天アミノ酸代謝異常の疾患には,ホモシスチン尿症(水晶体偏位),高オルニチン血症(脳回転状脈絡網膜萎縮症),フェニルケトン尿症(白内障),シスチン症(角結膜結晶沈着),チロシン血症Ⅱ(角膜潰瘍),晩発性シトルリン血症(乳頭浮腫),高グリシン血症(眼振),メープルシロップ尿症(視神経萎縮)などが知られている。眼症状から疾患が見つかることもあるため,これらの眼症状がみられるときは,先天アミノ酸代謝異常の可能性も考慮して他科の専門医にも相談する必要がある場合がある。本項では眼症状を伴う代表疾患としてホモシスチン尿症,高オルニチン血症,フェニルケトン尿症,シスチン症について解説する。

 Marfan症候群とLowe症候群(眼脳腎症候群)は先天アミノ酸代謝異常の疾患ではないが,Marfan症候群はホモシスチン尿症とよく似た外観を呈し,Lowe症候群はシスチン症同様尿細管性アシドーシスをきたすことなど,先天アミノ酸代謝異常の疾患に類似した臨床症状を伴うため,本項で取り上げる。

参考文献

1)青木菊麿:わが国の新生児マス・スクリーニング成績.先天性代謝異常症.小児内科 36:1846-1850,2004
2)伊藤道徳:ホモシスチン尿症.小児内科 35(増刊):327-332,2003
3)大浦敏博:脳回転状脈絡膜網膜萎縮症.別冊日本臨牀.先天代謝異常症候群(上巻).163-166,1998
4)太田一郎・三宅養三・市川 宏:脳回転静脈絡網膜萎縮症の1家系.眼臨 79(増刊):1221-1223,1985
5)Yozo Miyake:Gyrate Atrophy. In:Electrodiagnosis of Retinal Diseases. 66-67, Springer-Verlag, Tokyo, 2006
6)Kawashima H, Kawano M, Masaki A et al:Three cases of untreated classical PKU:a report on cataracts and brain calcification. Am J Med Genet 29:89-93, 1988
7)Pitt DB, O'Day J:Phenylketonuria does not cause cataracts. Eur J Pediatr 150:661-664, 1991
8)鈴木祐子・粟屋 忍・中村 誠・他:シスチン症の1例.眼臨 88:277-281,1994
9)Gahl WA, Kuehl EM, Iwata F et al:Corneal crystals in nephropathic cystinosis:natural history and treatment with cysteamine eyedrops. Mol Genet Metab 71:100-120, 2000
10)中林啓記・大和田操:Lowe症候群.小児内科 35(増刊):417-423,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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