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特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 5.神経・筋肉疾患
重症筋無力症
著者: 加島陽二1
所属機関: 1日本大学付属練馬光が丘病院眼科
ページ範囲:P.85 - P.89
文献購入ページに移動重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)は,骨格筋の神経筋接合部での興奮伝達の障害により筋力の低下,易疲労性を特徴とする自己免疫疾患である。本症では,神経筋接合部のシナプス後膜に存在するアセチルコリン受容体(acetylcholine receptor:AchR)を標的抗原とする自己抗体(抗アセチルコリン受容体抗体:以下,抗AchR抗体)が検出され,その免疫反応によりアセチルコリン受容体数が減少し,運動神経からの刺激伝達効率が著しく低下して筋力の低下をきたすといわれている1)。
臨床的には筋力低下が起こる部位により,眼筋型と全身型とに分けられ,前者が20%,後者が80%の頻度でみられる。病型別の抗AchR抗体の陽性率は,眼筋型が約50%,全身型では約80%である。本症のほぼ70%は眼筋型として発症し,その後,全身型へ移行する例が多い。ただし眼筋型のまま2年以上経過すると全身型への移行はほとんどないといわれる2)。本症の有病率は10万人あたり約5人,発症年齢は0~5歳,20~30歳にピークをもつ二峰性である。全体の男女比は1:2で女性に多いが,40歳以後では男性の発症例が多くなる特徴がある3)。
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