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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 9.結合組織病および近縁疾患

Buerger病,進行性全身性硬化症

著者: 鈴木香1

所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.186 - P.187

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慢性動脈閉塞症

 慢性動脈閉塞症には,閉塞性血栓性血管炎(Buerger病)と閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis:ASO)がある。Buerger病は,青壮年男子に好発し,四肢動静脈,特に下腿の中型動脈の血栓性閉塞を特徴とする疾患である。圧倒的に喫煙者に多く,歩行障害や潰瘍形成を生じ,疼痛が激しく壊死が進行した場合には,下肢切断を余儀なくされうる疾患である。一方,閉塞性動脈硬化症は動脈硬化を基盤としており,下肢の虚血のみではなく,冠動脈や脳血管障害など全身性の血管障害を高頻度に合併する。

 下肢の慢性虚血性疾患を有する患者での眼底所見については,網膜動脈の狭細化や動脈硬化性変化がみられると報告されている1)。Buerger病は,高血圧や高コレステロール血症,糖尿病,動脈石灰化などの動脈硬化病変が臨床的に否定できるものをさすため,眼科領域での網膜血管における動脈硬化性変化については,主として閉塞性動脈硬化症において出現しうる病態といえる2~4)。わが国ではかつてBuerger病が多数を占めていたが,近年は高齢化や食生活の欧米化により,閉塞性動脈硬化症患者が急速に増加してきている。

参考文献

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12)Kirkham TH:Scleroderma and Sjogren's syndrome. Br J Ophthalmol 53:131-133, 1969

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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