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特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 10.感染症
ヒトヘルペスウイルス感染症
著者: 内藤毅1 塩田洋1
所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学視覚病態学
ページ範囲:P.199 - P.205
文献購入ページに移動1.ヒトヘルペスウイルス
ヒトヘルペスウイルス(human herpesvirus:HHV)はα,β,γの亜科に分類され,現在8種類が知られている。単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus type 1:HSV-1),単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2),水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV),Epstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virus:EBウイルス,EBV),サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)とHHV-6~8の8種類である。HSV-1,2とVZVがαヘルペスウイルスに属し,CMVとHHV-6,7はβヘルペスウイルスに,EBウイルスとHHV-8はγヘルペスウイルに属し,それぞれ性質が異なる。
αヘルペスウイルスは増殖が早く神経節に潜伏感染する。βヘルペスウイルスは増殖が遅くリンパ球,単球,唾液腺に潜伏感染する。さらにγヘルペスウイルスはB細胞に潜伏感染し,腫瘍と関連する。EBウイルスはBurkittリンパ腫や鼻咽頭癌の原因となり,HHV-8はKaposi肉腫と関連するため,Kaposi肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi sarcoma-associated herpesvirus:KSHV)と呼ばれている。HHV-6~8の眼病変に関しては不明であるが,今後ぶどう膜炎などの種々の眼病変が出現する可能性があり注意を要する。
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