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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム 眼科研究こぼれ話

強膜内陥術と角膜内皮

著者: 佐宗幹夫1

所属機関: 1三重大学

ページ範囲:P.209 - P.209

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 裂孔原性網膜剝離に対する強膜内陥術は,注意深くていねいに行えば,硝子体手術の普及した現在でも非常によい術式だと私は考えている。

 7~8年前になるが,近医で網膜剝離手術後に眼痛,充血,高眼圧をきたした患者さんが来院した。強度の毛様充血と前房内フィブリン析出を認め,瞳孔は中等度散大していた。眼底は高眼圧と角膜浮腫のため見にくかったが,輪状締結術によると思われる高い突出が全周にみられた。術後眼内炎も考えられたが,強い輪状締結術による前眼部虚血ではないかと考え,輪状締結を除去した。これまで私は,先輩の諸先生方から「高すぎるバックル,強すぎるエンサークリングは不適切なバックル位置や裂孔の見落としの穴埋めにはならない。百害あって一理なし」と教えられてきた。そのためバックルの高さ・範囲を最小限にするよう努めてきたせいか,前眼部虚血の症例をみる機会がなかった。前医の手術から数日しか経過しておらず,剝離の再発なども心配されたが,幸い再発はなく前眼部炎症,角膜浮腫は消退し眼圧も下降した。しばらく経過をみると虹彩が萎縮してきたのも教科書で見た前眼部虚血の写真どおりであったが,角膜内皮を測定して愕然とした。細胞密度が1,000/mm2以下になっていたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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