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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 15.薬物・化学物質中毒

化学物質中毒

著者: 村山耕一郎1 島田佳明1

所属機関: 1埼玉医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.316 - P.321

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はじめに

 化学物質はわれわれの生活のなかに広く浸透しており,有機溶媒を多く使用するような職場だけではなく,一般の家庭でも室内の環境因子として注目されている。

 化学物質中毒とは,体外に存在する化学物質に接触あるいは吸収することで受ける健康被害を意味し,大量の化学物質に曝露して生じる急性中毒と,長期間にわたる皮膚からの吸収や吸入により生じる慢性中毒がある。眼に起こる障害は視路や神経眼科領域に関するものがほとんどであり,慢性中毒では不定愁訴のような症状のみのこともある。さらに最近は,きわめて低濃度の化学物質でも化学物質過敏症やアレルギー様の症状を呈するなど,化学物質中毒の問題は多様化しつつある。

参考文献

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12)平成17年度厚生労働省科学研究費補助金「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明,診断,治療対策に関する研究」(主任研究者:石川哲)平成17年度総括研究報告書.172-177,2006
13)岩月啓氏:シックハウス症候群.玉置邦彦(編):日本皮膚科白書.306-311,金原出版,2003
14)吉野 博・天野健太郎・飯田 望・他:シックハウスの現状:室内空気と健康との関係.神眼 19:188-200,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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