文献詳細
文献概要
特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて 17.心因性疾患
神経症,心身症,心因性視覚障害
著者: 若倉雅登1
所属機関: 1井上眼科病院
ページ範囲:P.332 - P.335
文献購入ページに移動近年の精神医学と眼症
統合失調症や躁うつ病(双極性障害)など古典的には内因性精神疾患といわれたもの(心因のない器質的変化とされる)に,どの程度視力障害などの眼症状の合併がみられるか,信頼できる新しい調査はなく,古くから視覚や眼に関する合併は稀とされてきている常識がいまも通用している。しかし,神経眼科の臨床においては,上記疾患と診断されている患者が視力障害,視野障害,霧視,眼周囲異和,羞明などで受診することは決して稀でなく,それが精神疾患に由来するか,抗精神薬に由来するか,あるいは無関係の合併かなどわからないことが非常に多い。
今日では,病気の原因ではなく症状の記述によってする診断基準(米国精神医学会の定めたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSMやWHOの定めたInternational Statistical Classification of Diseases:ICD-10)が主流になり,従来主として心因が原因とされていた神経症は,広義には「神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害,不安障害」(ICD-10による)であり,狭義には不安障害(これにも種々の分類があるが,比較的理解しやすい分類を表1に挙げる)そのものである。不安障害では,眼疲労感などをみることはあるが,視覚障害を示すことはない。
統合失調症や躁うつ病(双極性障害)など古典的には内因性精神疾患といわれたもの(心因のない器質的変化とされる)に,どの程度視力障害などの眼症状の合併がみられるか,信頼できる新しい調査はなく,古くから視覚や眼に関する合併は稀とされてきている常識がいまも通用している。しかし,神経眼科の臨床においては,上記疾患と診断されている患者が視力障害,視野障害,霧視,眼周囲異和,羞明などで受診することは決して稀でなく,それが精神疾患に由来するか,抗精神薬に由来するか,あるいは無関係の合併かなどわからないことが非常に多い。
今日では,病気の原因ではなく症状の記述によってする診断基準(米国精神医学会の定めたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSMやWHOの定めたInternational Statistical Classification of Diseases:ICD-10)が主流になり,従来主として心因が原因とされていた神経症は,広義には「神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害,不安障害」(ICD-10による)であり,狭義には不安障害(これにも種々の分類があるが,比較的理解しやすい分類を表1に挙げる)そのものである。不安障害では,眼疲労感などをみることはあるが,視覚障害を示すことはない。
参考文献
1)Wakakura M:Persistent ocular or periocular irritation without organic lesions of the eye. Neuro-ophthalmology Japan(Asian section) 22:577-581, 2005
2)若倉雅登・清澤源弘・山田昌和・他:解決!目と視覚の不定愁訴・不明愁訴.金原出版,東京,2006
3)小口芳久:心因性視力障害.近代文芸社,東京,2004
4)Griffiths PG, Eddyshaw D:Medically unexplained visual loss in adult patients. Eye 18:917-922, 2004
5)Chen CS, Lee AW, Karagiannis A et al:Practical clinical approaches to functional visual loss. J Clin Neurosci 14:1-7, 2007
掲載誌情報