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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻12号

2007年11月発行

文献概要

臨床報告

ドメスティック・バイオレンスによる外傷性眼障害者の1例

著者: 青山公彦1 新里越史1 杉田威一郎1 雑喉正泰1 岩城正佳1

所属機関: 1愛知医科大学眼科学講座

ページ範囲:P.2061 - P.2064

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要約 目的:家庭内暴力により白内障と網膜剝離が生じ,眼科的ならびに社会的に救済できた症例の報告。症例:33歳女性が両眼の視力低下で受診した。10年以上前から父と義母から家庭内で暴力を受けていたという。8年前に右下肢骨折,6年前に左下肢骨折,4年前に肝臓の圧迫破裂,2週間前に熱湯による顔面と上半身の熱傷があった。矯正視力は右光覚弁,左手動弁であり,両眼に外傷性白内障と網膜剝離があった。経過:左眼に対し白内障手術,眼内レンズ挿入術,シリコーンオイル併用の硝子体手術を行った。7週後のシリコーンオイル抜去後に網膜剝離が再発した。網膜冷凍凝固術で網膜は復位し,0.3の最終視力を得た。退院後は実家に帰らせず福祉施設に入居させた。結論:本症例の救済には,医学的治療に加え,患者の親戚,医療スタッフ,病院間の連携,警察の協力など法律を含めた総合的な対策が奏効した。

参考文献

1)野田順子:DVは女性の健康問題である.助産婦誌 54:9-14,2000
2)劔 陽子・山下美恵・伊比健児・他:ドメスティック・バイオレンス(DV)による眼外傷の1症例と病院の対応.保健の科学 44:797-801,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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