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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻12号

2007年11月発行

文献概要

文庫の窓から

『霊枢』

著者: 中泉行弘1 林尋子1 安部郁子1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.2070 - P.2072

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漢方医学の根本経典

 『黄帝内経霊枢』略して『霊枢』は『九巻』,『鍼経』,『九霊』,『九墟』とも呼ばれていた。『黄帝内経』という書物が紀元前26年までに宮廷医,李桂園によってまとめられ,それがいつの頃か『素問』と『霊枢』という2つの書物へと再編された。その時期は明らかではないが,2世紀の初めから3世紀の中頃と考えられている。晋の皇甫謐(214-282)の『甲乙経』と唐の王冰の『黄帝内経素問』の自序(762)にもこの2つの書物のことがそれぞれ語られ,『霊枢』は『素問』と並び古来漢方医学の根本経典として知られている。

 しかし,唐末からの混乱の時代を経ると『霊枢』は散失してしまう。そこで,北宋に至って高麗より献じられた『鍼経』を『霊枢』とした(1093)。さらに南宋の世になった1155年,再び散失の危機に瀕していた『霊枢』を史崧(しすう)が新たに校正して24巻81篇として刊行する。『現代語訳 黄帝内経霊枢』(東洋学術出版社,1999)の監訳者白杉悦男氏によれば「現行の『霊枢』は全てこの史崧のテキストに基づいている」という。

参考文献

1)服部敏良:奈良時代醫学の研究.東京堂,1945
2)岡西為人:中国醫書本草考.井上書店,1974
3)小曽戸洋:中国医学古典と日本.塙書房,1996
4)南京中医学院中医系(編):現代語訳 黄帝内経霊枢.上.東洋学術出版社,1999
5)新村勝資・土屋憲明:古典に学ぶ鍼灸入門 原典に学ぶ.医道の日本社,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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