文献詳細
文献概要
やさしい目で きびしい目で・96
局所麻酔手術
著者: 祐森弘子1
所属機関: 1祐森クリニック
ページ範囲:P.2113 - P.2113
文献購入ページに移動 局所麻酔による手術は日常でよく行われることとなっている。患者さんの負担は少ないが,どんな周りの音や声でもかなりよく聞こえてしまう。特に顔を布でカバーされていると,その人の外界からの情報源は耳からだけとなるため,いつも以上に音がはっきり聞こえることになる。よく「まな板の鯉ですから」と手術を受ける患者さんが言われるのを耳にする。初めて聞いたときは,何ともいえぬ複雑な心境になってしまった。確かにそのとおりだと思うが,なぜかそのまま「そうですね」などと受け容れ難いものを感じた。きっと「おまかせします」という意味なのだろうと理解しているが。とすると鯉はまな板の上で,音を一所懸命収集しているのだろうか。大きな違いは,鯉には悪いけれども,手術の場合は生かすためのもので,これで最後というわけではないことである。
そういった手術室の中にいったん入ると,誰もが言葉を発する場合,一言一句を十分に考え,言葉を選ぶようにしなければならないのは当然である。手術の準備をしているときでも,隣りが手術中であれば「よし」や「OK」はいいのだが,「あっ」とか「しまった」は決して発してはいけない。ましてや「落としてしもた」なんて,特に眼科の白内障手術では禁句中の禁句である。
そういった手術室の中にいったん入ると,誰もが言葉を発する場合,一言一句を十分に考え,言葉を選ぶようにしなければならないのは当然である。手術の準備をしているときでも,隣りが手術中であれば「よし」や「OK」はいいのだが,「あっ」とか「しまった」は決して発してはいけない。ましてや「落としてしもた」なんて,特に眼科の白内障手術では禁句中の禁句である。
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