icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻13号

2007年12月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

裂孔原性網膜剝離術後に後極部に多発性の孤立性網膜斑状病変を生じた1例

著者: 岡田浩美1 伊東健1 森田啓文1 山城美和子1 久保田敏昭1 田原昭彦1

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.2127 - P.2130

文献購入ページに移動
要約 目的:網膜剝離手術後に多発性斑状病変が後極部眼底に生じた症例の報告。症例:53歳女性が前日からの右眼視力低下で受診した。右眼矯正視力は0.2で,眼底の外上方に円孔があり,黄斑を含む網膜剝離があった。経過:眼球の外半周にシリコーンスポンジを縫着し,網膜下液の排液と冷凍凝固を行った。網膜は復位し,矯正視力は0.8に改善した。手術の1か月後に後極部から赤道一帯に境界鮮明な黄白色斑が多発し,その範囲は術前の網膜剝離のそれと一致した。黄白色斑の部位はフルオレセイン蛍光造影で過蛍光を呈し,光干渉断層検査(OCT)でこれに相当して孤立性網膜剝離があった。以後無治療で眼底所見は寛解し,6か月後に視力は1.5になった。結論:網膜剝離の術後に孤立性斑状病変が眼底に生じることがあり,網脈絡膜循環障害ないし網膜色素上皮障害が関与している可能性がある。

参考文献

1)松井淑江・中尾 功・川路隆博・他:裂孔原性網膜剝離に対する手術後の一過性網膜深層変化.臨眼 55:901-904,2001
2)横山勝彦・調枝聡冶・木許賢一・他:裂孔原性網膜剝離術後にみられた眼底多発性斑状変化の3例.臨眼 60:1629-1632,2006
3)魵澤伸介・宇野智美・金井 要・他:網膜剝離術後の渦静脈膨大部の拍動と網脈絡膜循環動態への影響.臨眼 57:967-972,2003
4)Gass JDM:Acute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy. Arch Ophthalmol 80:177-185, 1968
5)間野ともえ:赤道部強膜全周締結術の脈絡膜循環への影響.第1報.術後早期について.眼紀 33:460-467,1982
6)高橋節夫:脈絡膜組織血流量に関する研究.第3報.渦静脈結紮による影響.眼紀 33:958-961,1982
7)Diddie KR, Ernest JT:Uveal blood flow after 360°constriction in the rabbit. Arch Ophthalmol 76:275-279, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?