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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻2号

2007年02月発行

文献概要

臨床報告

視神経網膜炎で発見された2期梅毒の1例

著者: 新井根一1 滝昌弘1 稲葉浩子2

所属機関: 1常滑市民病院眼科 2常滑市民病院皮膚科

ページ範囲:P.197 - P.201

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要約 目的:視力低下と視神経網膜炎を初発症状として2期梅毒が発見された症例の報告。症例:56歳男性が10日前からの左眼霧視と中心暗点で受診した。糖尿病と高血圧の既往があった。矯正視力は右1.2,左0.5であり,左眼の視神経乳頭の腫脹と黄斑部にかけての浮腫があった。蛍光眼底造影で網膜静脈からの蛍光漏出があり,中心暗点が検出された。右眼には異常はなかった。経過:上肢から躯幹にかけて爪甲大の紅斑が多発し,梅毒血清反応が陽性であり,梅毒2期のバラ疹と診断された。アモキシシリン内服で眼底所見は改善し,2か月後の左眼矯正視力は0.7に回復した。結論:頻度は激減しているが,梅毒が原因で視神経炎またはぶどう膜炎が発症することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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