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著者: 西田輝夫
所属機関:
ページ範囲:P.270 - P.270
文献購入ページに移動今月号は,「緑内障診療の新しい展開」を特集としてお届けします。閉塞隅角緑内障と同じ考え方で,高い眼圧により視神経線維が傷害されると基本的には考えられてきた開放隅角緑内障ですが,眼圧が従来からいわれている正常範囲内であっても視野障害や視神経乳頭の陥凹が進行する正常眼圧緑内障の頻度がわが国では高いことが多治見スタディで明らかになりました。眼圧はもはや緑内障の診断の過程では大きな意味をもたなくなり,視野障害と視神経乳頭の形状が診断の基本となってきています。しかしながら視神経を再生させることのできない現時点では,治療の標的は眼圧の下降です。このあたりに緑内障の診断と治療における循環理論のような難しさがあります。現在でも眼圧は大切な指標です。しかし現在私たちが用いている眼圧計はあくまで角膜が正常であるという前提で計測しているわけですから,角膜移植術後や瘢痕により角膜が菲薄化している場合や,角膜屈折矯正手術を受けておられる方などでの眼圧の読み値と真の値の違いに注意を払う必要があります。どうぞ今月号の「臨床眼科」をお楽しみください。
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