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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科61巻3号

2007年03月発行

雑誌目次

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

アシタザノラスト水和物点眼液の季節性アレルギー性結膜炎に対する季節前投与の効果

著者: 山岸哲哉 ,   奥村直毅 ,   中井孝史 ,   橋田正継 ,   卜部公章 ,   吉田博則 ,   三好輝行 ,   小島善治 ,   伊与田加寿 ,   角環 ,   福島敦樹 ,   上野脩幸

ページ範囲:P.313 - P.317

要約 目的:季節性アレルギー性結膜炎に対するアシタザノラスト点眼液の季節前投与の効果の報告。対象と方法:前年までに季節性アレルギー性結膜炎と診断され,スギ花粉に対する血清IgE RASTまたは皮膚テストが陽性の患者23例23眼に,花粉飛散が予測される2週間前から,1日4回のアシタザノラスト水和物の点眼を6週間続けた。スギ花粉飛散の開始後に発症した患者10例10眼に,アシタザノラストを1日4回,4週間点眼した。投与前後の自他覚所見を2週毎に検討した。結果:季節前に投与した症例では,花粉飛散の開始前と開始後で自他覚所見の変化がなかった。花粉飛散の開始後に治療した10眼では,投与の2週後に搔痒感が改善し,以後4週後まで続いた。これら10眼と比べ,季節前投与例では,搔痒感,流涙,球結膜と瞼結膜の充血,結膜濾胞のスコアが有意に低かった。副作用はいずれの症例群にもなかった。結論:アシタザノラストの点眼は,季節性アレルギー性結膜炎の発症後の自覚症状を改善し,季節前投与により症状の悪化を抑制する。

原発閉塞隅角症の予防的白内障手術における角膜内皮障害予測因子

著者: 早川和久 ,   澤口昭一 ,   新城百代 ,   名嘉文子

ページ範囲:P.319 - P.324

要約 目的:原発閉塞隅角症に対する予防的水晶体摘出が角膜内皮に及ぼす要因の解析。対象と方法:単一術者により白内障手術を行った連続例676眼のうち,術後3か月の内皮が計測できた378眼を検索した。内訳は男性99眼,女性279眼で,年齢は34~94歳(平均75歳)であった。このうち狭隅角に対する予防として水晶体摘出を行ったのは57眼である。ステップワイズ重回帰分析で,術前の各因子と内皮細胞面積の変化との相関を検討した。結果:術後の角膜内皮障害と有意に関係する術前因子は,眼軸長,核硬度,粘弾性物質の使用,年齢,性であった(p<0.0001,R2=0.21)。前房深度,角膜屈折力,眼圧,矯正視力,瞳孔径,落屑症候群の有無とは関係がなかった。結論:核硬化や内皮障害が進行する以前のソフトシェル法による早期白内障手術が,短眼軸女性での内皮障害を軽減する可能性がある。

ポリープ状脈絡膜血管症に対する光線力学的療法1年後の異常血管網残存率

著者: 引地泰一 ,   大塚秀勇 ,   樋口眞琴 ,   松下卓郎 ,   有賀浩子 ,   松下玲子 ,   小阪祥子

ページ範囲:P.325 - P.330

要約 目的:ポリープ状脈絡膜血管症に対して光線力学的療法(PDT)を行った1年後の,ポリープ状病巣と異常血管網の残存率の報告。症例と方法:ポリープ状脈絡膜血管症21例21眼に対し,初回治療としてPDTを行った。男性19例,女性2例であり,年齢は58~91歳(平均74歳)であった。ベルテポルフィン注入開始から15分後に,病巣全体を679nmのレーザーで83秒間照射した。結果:1年後の赤外蛍光造影などによる検索で,異常血管網が20眼(95%)にあった。うち4眼にはポリープ状病巣が併存していた。他の1眼(5%)は網膜下出血などのため判定できなかった。結論:ポリープ状脈絡膜血管症に対するPDT 1年後には,ポリープ状病巣が消失している症例が多いが,異常血管網は高頻度で残り,疾患が再燃する可能性がある。

感受性からみた年代別の眼科領域抗菌薬選択2006

著者: 加茂純子 ,   喜瀬梢 ,   鶴田真 ,   村松志保 ,   山本ひろ子

ページ範囲:P.331 - P.336

要約 目的:眼科領域での細菌の,年齢層毎にみた抗菌薬に対する感受性の報告。方法:2006年8月までの1年間に279例の結膜炎患者から分離された細菌を検索した。患者の年齢層を,0歳,15歳まで,64歳まで,65歳以上の4群に分けた。抗菌薬として,クロラムフェニコール(CP),ジベカシン(DKB),sulbenicillin(SBPC),levofloxacin(LVFX),tosfloxacin(TFLX),gatifloxacin(CFLX),エリスロマイシン(EM),テトラサイクリン(TC),バンコマイシン(VCM)に対する感受性を調べた。結果:全症例での1位はStaph. epidermidis,2位はCorynebacterium,3位はStaph. aureusであった。15歳未満群ではHemophilus influenzaeが1位または2位であった。どの年齢層でもメチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌(MRSA)にはVCMとCPが有効であった。すべての年齢層に対し,CMXが第1選択として勧められ,1歳以上ではTCが概して有効である。64歳未満ではGFLXが奏効する症例が多い。結論:抗菌薬による結膜炎の治療では,上記の結果を参考にすることが勧められる。

全層角膜移植後緑内障に対する線維柱帯切除術の成績

著者: 石田康仁 ,   相良健 ,   平野晋司 ,   近藤由樹子 ,   大田佳代子 ,   鈴木克佳 ,   近間泰一郎 ,   西田輝夫

ページ範囲:P.337 - P.340

要約 目的:全層角膜移植術後に発症した緑内障に対する線維柱帯切除術の眼圧と角膜移植片への影響の報告。対象と方法:全層角膜移植術後に線維柱帯切除術を行い,6か月以上の経過観察ができた44例44眼を対象とした。男性26例,女性18例であり,年齢は37~88歳(平均69歳)である。全症例が角膜移植までに白内障手術,緑内障手術,レーザー虹彩切開術など,平均2.7回の内眼手術を受けていた。44眼中,有水晶体眼が2眼,眼内レンズ挿入眼が36眼,無水晶体眼が6眼であった。眼圧は平均33.6±11.2mmHgであった。結果:線維柱帯切除術6か月後の眼圧は13.5±6.1mmHg,12か月後の眼圧は10.8±5.3mmHgであり,術前よりも有意に下降した。眼圧生存率は12か月後で70.0%,24か月後で57.6%,48か月後で40.0%であった。角膜拒絶反応が4眼,角膜内皮機能不全が11眼に生じた。結論:全層角膜移植術後に発症した緑内障に対する線維柱帯切除術はすぐれた眼圧下降効果があるが,術後次第に効果が低下し,移植角膜片への影響も大きい。

黄斑外の毛細血管瘤に由来する糖尿病性漿液性黄斑剝離

著者: 高橋京一 ,   岸章治

ページ範囲:P.343 - P.349

要約 目的:糖尿病網膜症に生じる漿液性黄斑剝離の病態の解明。症例:光干渉断層計で漿液性黄斑剝離と診断し,6か月以上の経過が観察できた糖尿病網膜症11例16眼の病歴を解析した。男性8例,女性3例であり,年齢は52~71歳(平均62歳)であった。13眼が単純網膜症,3眼が増殖網膜症であった。所見と経過:傍中心窩毛細血管網には全例で異常がなかった。検眼鏡所見から3群に分類できた。Ⅰ群:血管アーケード内に点状または斑状出血と毛細血管瘤が多発するもの(6眼)。Ⅱ群:輪状網膜症を呈する毛細血管瘤があるもの(4眼)。Ⅲ群:白斑や毛細血管瘤がなく,透過性亢進部位の同定が困難なもの(6眼)。蛍光眼底造影を14眼に行い,12眼に透過性亢進部位があった。Ⅲ群中3眼に毛細血管瘤が発見された。これら12眼の透過性亢進がある部位に直接光凝固を行った。結果:漿液性黄斑剝離は光凝固後10眼で1~15か月(平均6.7か月)後に消失した。結論:糖尿病網膜症で生じる漿液性黄斑浮腫は,黄斑外の透過性亢進と毛細血管瘤によることが多い。

網膜症のない糖尿病の網膜神経線維層

著者: 浜田幸子

ページ範囲:P.351 - P.355

要約 目的:網膜症のない糖尿病患者での網膜神経線維層厚の臨床的要因による検索。対象と方法:年齢を調整した後,対象を網膜症のない糖尿病150眼,コントロールを正常眼66眼と正常眼圧緑内障47眼とした。このうち1年後に,糖尿病60眼と正常26眼を再測定した。網膜神経線維層厚は光干渉断層計OCT3で測定し,乳頭全周とその4方向を検索した。結果:糖尿病群の網膜神経線維層厚は正常に比べやや薄く(p<0.05),1年後にはさらに減少した(p<0.05)。網膜神経線維層厚は加齢により減少し,その程度は正常よりも糖尿病群でやや強い(p<0.001)。網膜神経線維層厚は糖尿病の罹患年数と負の相関があり,HbA1cとの相関は低い。糖尿病者での網膜神経線維層厚の下限値は,正常眼圧緑内障での上限値と重複した。結論:網膜症のない糖尿病者では網膜神経線維層厚が減少し,正常眼圧緑内障を発症する可能性があり,鑑別を要する。

硝子体手術前後の乳頭周囲網膜神経線維層厚の変化の検討

著者: 築城英子 ,   古賀美智子 ,   北岡隆

ページ範囲:P.357 - P.360

要約 目的:硝子体手術後の網膜神経線維層厚の変化の報告。対象と方法:黄斑円孔または網膜上膜に対して硝子体手術を行った19例19眼を対象とした。男性6例,女性13例であり,年齢は54~78歳(平均67歳)であった。黄斑円孔に対しては内境界膜剝離,網膜上膜に対しては膜そのものを剝離した。術前と手術から平均8.6日後に,光干渉断層計3000で乳頭周囲の半径3.4mmの円上にある網膜神経線維層厚を測定した。結果:全象限を平均した網膜神経線維層厚は,術前103.6±17.3μm,術後113.4±24.6μmであり,有意差があった(p=0.007)。各象限別では,耳側と下方で術後の増加が有意であった(p<0.05)。結論:黄斑円孔または網膜上膜への硝子体手術では,乳頭周囲の網膜神経線維層厚が増加する。

眼科ロービジョン外来における使用頻度の高い光学的補助具

著者: 柳澤美衣子 ,   国松志保 ,   加藤聡 ,   鷲見泉 ,   北澤万里子 ,   田村めぐみ ,   三嶋明香 ,   落合眞紀子 ,   庄司信行

ページ範囲:P.363 - P.366

要約 目的:低視力(ロービジョン)外来で使用されている光学的補助具の種類の現状報告。対象と方法:過去4年間に東京大学病院眼科のロービジョン外来を受診した視力障害者248例を対象とした。男性120例,女性128例であり,年齢は平均65歳であった。視力障害の原因疾患は,緑内障87例(35%),糖尿病網膜症37例(15%),黄斑変性41例(17%),その他83例であった。光学的補助具として,単眼鏡,手持ちまたは卓上式拡大鏡,ビデオ型拡大読書器,遮光眼鏡を用意した。問診,視力,視野,MNREAD-Jを参考にして補助具を選択させ,患者が試用したのち,試用頻度を調査した。結果:使用頻度は,ビデオ型拡大読書器86%,単眼鏡35%,2~3倍のドーム型拡大鏡34%,電源内蔵拡大鏡30%であった。拡大率8倍以上の卓上式拡大鏡は4%以下であった。結論:眼科の低視力外来では上記の試用頻度を参考にして光学的視力補助具を用意することが望ましい。

眼科外来診察のビデオ記録と会話分析

著者: 綾木雅彦 ,   谷口重雄 ,   関口郷子 ,   松屋櫻子 ,   佐藤綾子 ,   石川ひろの

ページ範囲:P.367 - P.371

要約 目的:眼科外来での診療の状況をビデオで記録した結果の報告。方法:大学病院の眼科で,病院長,医師,各患者の承認を得たうえで,外来診察の状況を患者の背面から技師がビデオ記録した。映像と音声を言語と非言語コミュニケーションについて分析した。言語記録は文章化し,会話を分析した。非言語部分については,患者と医師の行動を画像に記録した。4名の眼科専門医による25回の診察を解析した。言語記録から,全体的な言葉遣い,専門用語,開放型・閉鎖的質問,促し,要約の使用を評価した。非言語記録として,表情,服装,患者との位置関係,視線,音声,メモについて各医師の特徴を整理し,その影響を考察した。結果:評価した結果を各医師に伝えた結果,自分の動作や会話の特徴をよく知ることができ,これからの診療に有用であった。結論:外来診療の状況をビデオで記録し,分析することで,各医師の特徴を知ることができ,医師患者間のコミュニケーションの特徴や問題点を抽出することができる。

Idiopathic juxtafoveolar retinal telangiectasis group 2Aの1例

著者: 高橋秀徳 ,   小畑亮 ,   入山彩 ,   井上裕治 ,   柳靖雄 ,   玉置泰裕

ページ範囲:P.373 - P.378

要約 目的:Idiopathic juxtafoveolar retinal telangiectasis group 2Aの症例の報告。症例と所見:53歳女性が2年前からの視力低下で受診した。矯正視力は右0.2,左0.4であり,両眼の黄斑耳側に灰白色混濁があった。右眼には軽度の網膜下出血と混濁部の隆起,左眼にはクリスタリン様沈着物があった。フルオレセイン蛍光眼底造影で色素漏出を伴う毛細血管網の拡張があり,特発性傍中心窩末梢血管拡張症第2群と診断した。光干渉断層法(OCT)検査で両眼に視細胞層の途絶とlamellar cystがあった。右眼にトリアムシノロンをテノン囊下に投与し白色隆起病変が瘢痕化したが,視力は変化しなかった。網膜下血管新生の存在が疑われた。結論:本症での視力低下には網膜の萎縮性変化が関与している可能性がある。

極端に網膜血管の発達が悪い未熟児網膜症の1例

著者: 齋藤哲哉

ページ範囲:P.379 - P.382

要約 目的:網膜血管の発達が極端に悪い未熟児網膜症症例の報告。症例:子宮頸部癌に対する妊孕能温存手術の後,人工授精で妊娠した母から在胎24週,出生体重588gで男子が出生した。経過:中間透光体の混濁が減少するとともに,両眼の網膜血管の先端が乳頭と黄斑の中間にあることが判明した。57~59日の間に網膜血管の怒張蛇行が急激に顕著化し,aggressive posterior retinopathy of prematurityと診断し,60日に黄斑部を含む無血管野と増殖がある有血管野に対し癒合性の配置で光凝固を両眼に行った。結果:最終的に黄斑機能は損われたが,網膜血管の怒張蛇行が軽快し,増殖所見は消失した。結論:網膜血管の発達が極端に悪い未熟児網膜症に対しては,広範囲の網膜光凝固により,網膜外への増殖が阻止できることがある。

視神経乳頭浮腫をきたした視神経乳頭ドルーゼンに対しトリアムシノロンテノン囊下注射が奏効した1例

著者: 蓮見由紀子 ,   飯島康仁 ,   湯田兼次 ,   水木信久

ページ範囲:P.383 - P.387

要約 目的:視神経乳頭ドルーゼンによる両眼の乳頭浮腫に,トリアムシノロンのテノン囊下注射が奏効した症例の報告。症例:62歳男性が数週前からの左眼視力低下で受診した。矯正視力は右0.06,左0.6であり,右眼に黄斑萎縮と乳頭下縁に白色の隆起,左眼に網膜浮腫と出血を伴う乳頭の発赤と腫脹があった。全身的に異常がなく,超音波断層検査で両眼の視神経乳頭部に石灰化があった。網膜の循環障害を伴う視神経乳頭ドルーゼンと診断した。経過:3週後に左眼乳頭浮腫が悪化し視力が低下したために,トリアムシノロン20mgのテノン囊下注射を行った。眼底所見は改善し,視力が向上した。初診の3か月後に右眼に乳頭浮腫が発症した。左眼と同様の治療を行い,所見が改善した。最終視力として右0.1,左0.7を維持している。結論:視神経乳頭ドルーゼンに続発した両眼の乳頭浮腫と視力障害に対し,トリアムシノロンのテノン囊下注射が奏効することがある。

小型液晶ディスプレイを用いた立体視検査装置の開発

著者: 半田知也 ,   石川均 ,   魚里博 ,   庄司信行 ,   清水公也

ページ範囲:P.389 - P.392

要約 目的:新しく開発した立体視検査装置の臨床応用の可能性の検討。対象と方法:立体視検査装置として,4.3型の小型液晶ディスプレイを用いた。本装置用に開発したソフトで提示される立体視図形を,筒状の両眼分離装置を介して見せる。これにより,両眼視差2,000秒から100秒まで20段階での立体視検査が可能である。屈折異常以外に眼疾患がない青年30名の立体視機能を本装置で検査した。結果:被験者すべてが両眼視差100秒まで知覚できた。ピントずらし(defocus)により立体視が有意に低下した。結論:本装置で立体視を定量評価することが可能であり,今後の臨床応用が期待できる。

LASIK後白内障手術の眼内レンズパワーずれシミュレーション

著者: 西尾正哉 ,   明石文生 ,   反町一惠 ,   今井康雄 ,   的場直美 ,   山田裕一 ,   筑田眞

ページ範囲:P.393 - P.397

要約 目的:LASIKを受けた眼に白内障手術を行うときの眼内レンズ(IOL)の度のずれを仮想実験で計算した結果の報告。対象と方法:近視または近視性乱視に対してLASIKを行った134眼を対象とした。IOL逆算法で算出した適正なIOLの度数と,LASIK後に通常の方法で算出したIOLの度数との差を計算し,これによる眼鏡面上の屈折価のずれを算出した。さらにIOLの度数のずれと相関が高い項目を検索した。結果:LASIK後の価から算出したIOLの度数は,LASIK前のそれよりも2.25D小さい。眼鏡面での屈折値のずれは+1.93であり,適正度数よりも遠視側にある。IOLの度数ずれは,LASIK術前での等価球面度数とLASIK前後での屈折値変化と特に強い相関がある。結論:LASIK術後では,IOLの度数が過少評価されて遠視側にある。この傾向はLASIK前の近視が強いほど大きい。

同一形状で素材の異なる眼内レンズの術後成績の比較

著者: 竹下哲二

ページ範囲:P.399 - P.401

要約 目的:形状が同一で素材が異なる2種のAMO社製眼内レンズの成績の比較。対象と方法:白内障手術を同一術者が行い,6か月以上経過が観察できた103眼を検索した。眼内レンズには,アクリル性のAR40eと,シリコーン性のClariFlex®のいずれかを使用した。結果:術後の惹起乱視,目標屈折とのずれ,角膜内皮数には両群間に有意差がなかった。眼圧は両群とも術前価よりも有意に低下した。後発白内障に対しレーザー切開術を必要とした症例数は,両群間に有意差がなかった。結論:今回検討した眼内レンズについては,光学部の形状が同じであれば,素材がアクリルでもシリコーンでも,術後成績に差がなかった。

ラタノプロスト点眼後の下眼瞼多毛に対する防止策について

著者: 祐森弘子

ページ範囲:P.403 - P.405

要約 目的:緑内障に対するラタノプロスト点眼では,下眼瞼の多毛または色素沈着が続発しやすい。これに対して考案した予防法を報告する。症例と方法:過去3年間に治療した66例を対象とした。男性14例,女性52例であり,年齢は33~82歳(平均68歳)である。全例に正常眼圧緑内障または原発開放隅角緑内障があり,うち59例にはラタノプロスト点眼が行われていた。66例すべてにラタノプロスト点眼を続けさせ,点眼直前に下眼瞼に油性のクリームを塗布させた。以後2~17か月(平均5か月)の期間,経過を観察した。結果:下眼瞼の多毛または色素沈着は21例で改善,44例で不変,1例で悪化した。平均眼圧はクリーム塗布前が13.7mmHg,塗布後が13.1mmHgであった。結論:下眼瞼へのクリーム塗布で,ラタノプロスト点眼による下眼瞼の多毛または色素沈着を予防できる可能性がある。

特発性脈絡膜新生血管に対する治療

著者: 櫻井寿也 ,   前野貴俊 ,   木下太賀 ,   山田知之 ,   吉田稔 ,   川村博久 ,   竹中久 ,   小高隆平 ,   真野富也

ページ範囲:P.407 - P.410

要約 目的:特発性脈絡膜新生血管の治療成績の報告。症例と方法:過去13か月間に治療した特発性脈絡膜新生血管7例7眼を検索した。男性2例,女性5例であり,年齢は26~47歳(平均40歳)であり,観察期間は8~23か月(平均16か月)であった。治療として,全例にトリアムシノロアセトニド20mgをテノン囊下に注入した。改善傾向がない6眼には光線力学的療法(PDT)を追加した。結果:7例での最終視力は,術前より2段階以上の改善が4例,不変が3例であり,悪化はなかった。0.8以上の視力が4例で得られた。結論:特発性脈絡膜新生血管に対し,上記の療法が奏効することがある。ステロイド療法では眼圧上昇,光線力学的療法では網膜下血腫などの合併症に留意する必要がある。

中国海南省三亜地区に在住する低所得農民層の失明実態

著者: 曲静涛 ,   佐々木洋 ,   刘鑫 ,   周静聖 ,   呉開力 ,   小島正美 ,   坂本保夫 ,   本多隆文 ,   河上裕 ,   山代陽子 ,   張勁松 ,   佐々木一之 ,   日中共同調査グループ

ページ範囲:P.411 - P.416

要約 目的:低所得農民層の失明について中国海南省三亜市で実施した調査の報告。対象と方法:指定された村落に住む50歳以上の841名のうち,呼びかけに応じた558名を対象とした。矯正視力0.05未満の状態を失明とした。結果:片眼または両眼失明者は102名で,50歳代では当該年齢層の7%,60歳代では28%,70歳では34%,80歳以上では41%であった。失明の原因では白内障が65%を占めていた。低視力は,50歳代では当該年齢層の3%,60歳代では15%,70歳では20%,80歳以上では25%であったが,全員が眼鏡なしで暮らしているため,60歳以上では33%以上がこれに該当していた。翼状片は72%にあった。糖尿病網膜症,高血圧,動脈硬化による網膜疾患,開放隅角緑内障が疑われた症例は少なかった。結論:中国南部の低所得農民の失明または低視力への対策として,白内障手術だけでなく,屈折矯正などの手段が必要である。

市立三次中央病院における眼科救急患者の統計的観察-新しい当直体制になってからの診療状況

著者: 足立徹 ,   野間謙晴 ,   佐々木崇暁 ,   添田祐

ページ範囲:P.417 - P.421

要約 目的:新規に導入された眼科救急体制下での診療状況の報告。対象と方法:市立三次中央病院では,眼科の救急患者の診療を最初から眼科医が行っていた。これを2005年9月から当直医がまず診療する体制に変わった。新体制の導入から7か月間に受診した眼科救急患者を統計的に検討した。結果:眼科に関係する214名の患者が受診した。うち107名について当直医から眼科医に診療の要請があった。これら疾患の多くには,外傷歴,霧視,眼痛があった。当直医は角膜や結膜異物の確認に苦慮していた。結論:眼科の救急患者を当直医がまず診療する体制下では,プライマリケアを充実させるために,対応マニュアルを作成する必要がある。

専門別研究会

レーザー眼科学

著者: 岸章治

ページ範囲:P.422 - P.423

 メインホールでの発表で,内容が興味深いものであったせいか,学会初日の午前にもかかわらず多数の出席者がみられた。内容は一般講演,特別講演が主に新しい光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)に関するもので,レーザーカンファレンスが網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal artery occlusion:BRVO)の治療に関するものであった。

地域予防眼科

著者: 平塚義宗 ,   村上晶

ページ範囲:P.424 - P.426

【一般講演】

 日本臨床眼科学会の専門別研究会「地域予防眼科」は1981年に第1回が開催され,今年で26回目である。今回は順天堂大学の紺山和一先生が急病のため1題キャンセルとなり,合計4題の演題となった。例年に比べ演題数は少なかったが,そのぶん充実した討論がなされた。座長は金井淳先生(順天堂東京江東高齢者医療センター)が務めた。

オキュラーサーフェス―(1)日本眼科アレルギー研究会

著者: 内尾英一

ページ範囲:P.428 - P.430

 2006年の第15回日本眼科アレルギー研究会は10月5日(木)に例年と同様に,第26回ドライアイ研究会と合同のオキュラーサーフェス専門別研究会として開催された。今回の世話人は岡本茂樹先生(幸塚眼科)であった。

 プログラムは前半に「眼科医が知っておくべき新しい流れ」〔座長は高村悦子先生(東京女子医大)と岡本茂樹先生(幸塚眼科)〕というテーマでシンポジウムが組まれ,後半はドライアイ研究会との合同シンポジウムで,「ドライアイとアレルギー免疫の関与とこれからの治療」の順番で進められた。

連載 今月の話題

ベーシックで新しい緑内障手術

著者: 鈴木康之

ページ範囲:P.279 - P.282

 緑内障手術に関する近年の話題を概観した。ここのところ話題になることの多い原発閉塞隅角緑内障に対するレーザー虹彩切開術の可否の問題,最近,本邦でも一気に一般的になってきた円蓋部基底結膜弁による術式を中心とした線維柱帯切除術に関する話題,そして非穿孔性の房水流出路再建術および毛様体破壊術について注目点を列挙した。

眼科図譜・350

5歳男児に発症した網膜動脈分枝閉塞症の1例

著者: 狩野麻里子 ,   石龍鉄樹 ,   古田実 ,   前田修司 ,   飯田知弘

ページ範囲:P.284 - P.286

緒言

 網膜動脈閉塞症(retinal artery occlusion:以下,RAO)は40歳以上の成人に多く発症し,動脈硬化を基盤とする塞栓症が多い。若年者には本症は少ないが,全身の基礎疾患をもとに発症することが多く,小児での報告例はさらに少ない1,2)。今回,5歳の男児に発症した網膜動脈分枝閉塞症を経験したので報告する。

日常みる角膜疾患・48

角膜移植後の問題点―感染症

著者: 森重直行 ,   西田輝夫

ページ範囲:P.288 - P.291

症 例

 患者:63歳,男性

 現病歴:格子状角膜ジストロフィⅠ型(R124C)に対し,2004年2月に左眼の深層表層角膜移植を施行した。術後の経過は良好で当院眼科外来で経過を観察していたが,2005年8月,左眼の眼痛と充血を自覚したため再診した。

網膜硝子体手術手技・3

黄斑上膜

著者: 浅見哲 ,   寺崎浩子

ページ範囲:P.292 - P.297

はじめに

 黄斑上膜手術はあたかも硝子体手術の初歩のように感じられるかもしれない。しかし,黄斑部病変に対する手術は網膜全体や視神経機能障害を臨床的に生じた場合には重大な問題を引き起こす。したがって,いかに網膜全体に侵襲の小さい手術を行うかが手術手技のポイントとなる。

眼科医のための遺伝カウンセリング技術・5

カウンセラーの基本的態度とコミュニケーション・スキル(2)

著者: 千代豪昭

ページ範囲:P.299 - P.309

はじめに

 前回の連載では主としてカウンセリングを行う環境について解説した。主として物理的環境がクライエントにどのような影響を与えるかを考えることが,カウンセリングの理解に役立つと考えたからである。今回は実際にカウンセリングを進めていく一般的な方法と,カウンセラーが注意を払わねばならない態度・スキルについて紹介したい。行動療法とか認知療法といった,心理職が行う専門的な技法の解説ではなく,遺伝カウンセリングで応用できる一般的なスキルが中心である。

 ここで改めて復習をしておこう。ロジャースのカウンセリングでは,カウンセラーとクライエント間の好ましい人間関係(ラポール,リレーション)を前提に対話を繰り返し,クライエントがカウンセラーから影響を受けながら自律的な決断による行動変容に向かうことを目標にしている。カウンセラーは行動変容の方向について強制はしないが,医療カウンセリングであるから「好ましい」方向に上手に誘導しなくてはならない。この一連の過程で用いられるのがカウンセリング・スキルと呼ばれるものである。

 ロジャース派のカウンセリングの指導者である國分によるとカウンセリングを進めるうえでの基本的な態度やスキルとして,受容・支持・繰り返し・明確化・質問の5項目を強調している(「カウンセリングの技法」,誠心書房)。これらはカウンセリングでは基本技術であるが,医療カウンセリングとしての側面が強い遺伝カウンセリングにおいては,動機付け,受容,支持,情報提供と教育,確認,勇気付け,自律的な決断と行動変容の誘導,習慣化(フォロー)といった基本的な流れに沿ったほうがわかりやすいだろう。國分による「繰り返し」,「明確化」,「質問」などのカウンセリング・テクニックはこれらの過程の随所で必要となる技術である。

眼科医のための救急教室・3

病棟には危険がいっぱい!―入院中のアクシデントに対処する

著者: 和田崇文 ,   箕輪良行

ページ範囲:P.432 - P.434

はじめに

 本連載も今回で3回目になりました。楽しんでいただいておりますでしょうか。

 ところで皆様もお気づきのとおり患者の高齢化は予想より早く,いまや90歳台もめずらしくなくなりました。必然的に入院中に他の疾患を併発する確率も増え,われわれも注意しなければなりません。そこで今回は高齢者に多い脳卒中,心臓・血管疾患とその実例を挙げてポイントを解説します。

臨床報告

白内障手術のクリニカルパスとEBM

著者: 綾木雅彦

ページ範囲:P.439 - P.443

要約 目的:白内障手術のクリニカルパスがエビデンスとどのように適合しているかの検証。方法:クリニカルパスに含まれる全身検査,涙道通水,術前の抗菌薬点眼,術後点眼,術後内服,術後点滴,眼帯,術後診察間隔についてエビデンスを検索した。ランダム化比較試験,ガイドライン,学会会員アンケート,判例などを参考にした。結果:薬物投与に関しては,術後の抗菌薬点滴以外はエビデンスに従って行われていると思われた。症状や既往がない患者への全身検査は手術合併症とは無関係であり,手術後の診察は術中合併症がなければ翌日は不要で,1,2週間後でよいとするランダム化比較試験があった。結論:白内障手術での全身管理や術後診察は簡略化できる余地がある。

眼鏡の処方変更の実態調査 第1報

著者: 岡田栄一 ,   塩田朋子 ,   西崎律子 ,   彌永圭介 ,   宮田信之

ページ範囲:P.445 - P.449

要約 目的:屈折矯正のために眼鏡を処方され,処方の変更がその後必要になった事例の検討。対象と方法:都市部にある2眼科施設で過去7か月間に発行された39,290の眼鏡処方を検索した。男女ともほぼ同数で,平均年齢は40歳であった。眼鏡の用途は遠用が約70%であり,残りが近用または遠近両用であった。結果:発行後6か月以内に1,193(3.0%)の処方が変更された。処方の変更は男女間に差はなく,遠用よりも近用または遠近両用などの多焦点レンズで頻度が高かった。処方の変更は10歳代前半と70歳代で多かった。結論:眼鏡処方は自覚的検査が重要な要因になるので,処方の変更は避けられない。年齢によりその内容に特徴がある。

凍結保存羊膜移植を併用した線維柱帯切除術

著者: 新田憲和 ,   廣瀬直文 ,   田原昭彦 ,   久保田敏昭

ページ範囲:P.451 - P.455

要約 目的:凍結保存羊膜移植を併用して線維柱帯切除術を行った難治性緑内障の報告。症例と方法:難治性緑内障3例4眼を対象とした。内訳は原発開放隅角緑内障がある79歳男性(両眼),落屑緑内障がある87歳男性,全層角膜移植術を受けた53歳男性で,いずれも複数回の内眼手術の既往があり,結膜下の瘢痕化が強く眼圧コントロールが困難であった。これら4眼に対し輪部を基底とする結膜切開を行い,結膜下線維性組織の除去後に強角膜片と線維柱帯を切除した。強膜弁を縫合し,羊膜を2重反転して輪部強膜に縫着し結膜で被覆した。術中にマイトマイシンCを塗布した。結果:4眼ともびまん性の濾過胞が形成され,眼圧降下薬なしで眼圧がコントロールできた。術中・術後に重篤な合併症はなかった。結論:今回の術式は難治性緑内障に対する有効な方法である。

今月の表紙

増殖糖尿病網膜症

著者: 寺内渉 ,   根木昭

ページ範囲:P.283 - P.283

 患者は51歳男性,20年来の糖尿病の既往があり,2005年3月に近医を受診し両眼の汎網膜光凝固を施行したが,増殖変化が強く手術目的で当院を紹介され受診した。

 初診時所見では,視力は右0.1(0.15p),左0.5p(n. c)で,両眼に増殖膜を伴った新生血管を認めた。2005年6月3日に右眼の水晶体再建術,増殖網膜硝子体手術を施行し,2005年8月3日に左眼の硝子体出血に対して水晶体再建術,増殖網膜硝子体手術を施行した。術後視力は右(0.1),左(0.3)であった。

べらどんな

生誕100年

著者:

ページ範囲:P.298 - P.298

 今泉亀撤先生はこの3月10日で満100歳になられた。

 先生は東北大学を卒業され,眼科では小柳美三教授に師事した。学位論文は眼の結核についてである。東北大学助教授だった先生は,昭和24年(1949)に42歳で岩手医科大学教授に招かれた。

書評

言語コミュニケーション障害の新しい視点と介入理論

著者: 御領謙

ページ範囲:P.312 - P.312

 人間を人間たらしめている言語コミュニケーション機能に,不幸にも障害が生じた場合の不利益は計り知れない。この障害の評価法や,回復の支援に必要な方法の一層の整備は,高齢社会を迎えた今,緊急の課題の1つと言えよう。そのためには臨床場面のみならず,関係諸科学の基礎的研究をも含めた超領域的研究が必要であり,幅広い視点と知識が要求される。本書は読者をこの広領域にわたる研究と実践の最前線に導いてくれる。

 本書の特徴を2,3あげておきたい。第一は理論と実践のバランスを重視する姿勢である。これは編者笹沼澄子氏の編集方針であったのだろうが,どの著者もその要望に十分にこたえている。つまり本書は単なる事実や理論の羅列でなく,事実(神経心理学的事実,心理学,心理言語学的事実,脳神経画像的事実など)と,理論(認知機能モデル,言語理論,脳機能モデルなど)と,介入技法との間の有機的な関連付けを明確に意図している。それが現時点でどの程度成功しているかは,問題領域ごとの研究の進展具合などもあり,一概に判断はできない。しかし本書のこのような方向付けに,評者は深く賛同したい。

やさしい目で きびしい目で・87

冬の旭川から

著者: 木ノ内玲子

ページ範囲:P.431 - P.431

 日本最北の医学部にきて早や20年以上(学生時代を含めて)と,われながら自らの忍耐力に感心してしまいます。ここでちょこっと旭川の生活をご紹介します。

 今(2006年12月),旭川は雪で一面真っ白で,ライトに照らされた夜の景色はそれだけで芸術的です。寒さも世界的な温暖化の影響でめったに-20度を下まわることはなく,風も少ないので,過ごしやすいといってよいかもしれません。しかしスキー場の寒さは格別で,私は学生の頃にスキー部に所属していたのですが,年に何人か凍傷になっていました。スキーをしたくて北海道にきたくらいの私ですが,寒いところでスキーをするのは嫌いになりました。

ことば・ことば・ことば

黒白猫足

ページ範囲:P.435 - P.435

 動植物の学名にはラテン語が使われます。ヒト,ネコ,イヌ,ニホンザルがHomo sapiens, Felis catus, Canis familiaris, Macaca fuscataとなっているのがその例です。

 サルについているfuscusは「茶色」の意味です。これから派生したのが網膜色素上皮にある色素fuscinです。日本語ではフスチンですが,英語ではファシンのような発音になります。

文庫の窓から

『類證辨異全九集』所載の眼目門

著者: 中泉行弘 ,   林尋子 ,   斎藤仁男

ページ範囲:P.456 - P.458

 わが国の室町時代半には多くの若い僧侶たちが中国明(みん)国に渡り,彼地で諸々のことを学び帰国したといわれている。こうした入明の僧の一人に月湖を挙げることができる。

 月湖については諸説があり確証はないようであるが,潤徳斎と号し,明監寺と称し,享徳2年(1453)に明国に渡り銭塘(現中国浙江省杭州,銭塘江近郊?)に住し,『全九集』を1452年(明の景泰3年序)に,1455年に『済陰方』を著わしたといわれている。これらはともに江戸再版本が現存する。しかし「両者は月湖に仮託して編纂された可能性が高く,月湖その人も虚構との説が有力」(真柳 誠,医学大辞典,医学書院,2003)であるといわれている。

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あとがき

著者: 根木昭

ページ範囲:P.468 - P.468

 新医師臨床研修制度が発足して2回目の眼科志向者を迎える季節になりました。産科志向者は東北地方全体で8人と仄聞しました。産科医や小児科医の減少は社会問題になっていますが,眼科志向者も減少しています。しかも都会に集中しているため,地方の拠点病院での眼科閉鎖が続いています。有名になった医療崩壊という言葉が現実化しつつあり,同時に大学崩壊が忍び寄っています。生き残りをかけた病院の収入増対策が多々布告されますが,それこそ医療崩壊への道のようでもあります。

 今月号から第60回日本臨床眼科学会の講演原著が掲載されます。今回も昨年同様,多数のご投稿をいただき感謝しています。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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