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特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著
極端に網膜血管の発達が悪い未熟児網膜症の1例
著者: 齋藤哲哉1
所属機関: 1北海道立小児総合保健センター眼科
ページ範囲:P.379 - P.382
文献購入ページに移動要約 目的:網膜血管の発達が極端に悪い未熟児網膜症症例の報告。症例:子宮頸部癌に対する妊孕能温存手術の後,人工授精で妊娠した母から在胎24週,出生体重588gで男子が出生した。経過:中間透光体の混濁が減少するとともに,両眼の網膜血管の先端が乳頭と黄斑の中間にあることが判明した。57~59日の間に網膜血管の怒張蛇行が急激に顕著化し,aggressive posterior retinopathy of prematurityと診断し,60日に黄斑部を含む無血管野と増殖がある有血管野に対し癒合性の配置で光凝固を両眼に行った。結果:最終的に黄斑機能は損われたが,網膜血管の怒張蛇行が軽快し,増殖所見は消失した。結論:網膜血管の発達が極端に悪い未熟児網膜症に対しては,広範囲の網膜光凝固により,網膜外への増殖が阻止できることがある。
参考文献
1)大島健司:昔の未熟児と最近の未熟児.眼科 46:805-807,2004
2)斎藤哲哉:未熟児網膜症に対する網膜光凝固.眼臨 100:261-265,2006
3)An International Committee for the Classification of Prematurity of Prematurity:The international classification of retinopaty of prematurity revisited. Arch Ophthalmol 123:991-999, 2005
4)渡邊浩子・齋藤総一郎・立脇祐子・他:非常に良好な経過をとった超低出生体重児(398g)の未熟児網膜症の1例.日眼会誌 108:44-46,2004
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