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特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著
ラタノプロスト点眼後の下眼瞼多毛に対する防止策について
著者: 祐森弘子1
所属機関: 1祐森クリニック眼科
ページ範囲:P.403 - P.405
文献購入ページに移動要約 目的:緑内障に対するラタノプロスト点眼では,下眼瞼の多毛または色素沈着が続発しやすい。これに対して考案した予防法を報告する。症例と方法:過去3年間に治療した66例を対象とした。男性14例,女性52例であり,年齢は33~82歳(平均68歳)である。全例に正常眼圧緑内障または原発開放隅角緑内障があり,うち59例にはラタノプロスト点眼が行われていた。66例すべてにラタノプロスト点眼を続けさせ,点眼直前に下眼瞼に油性のクリームを塗布させた。以後2~17か月(平均5か月)の期間,経過を観察した。結果:下眼瞼の多毛または色素沈着は21例で改善,44例で不変,1例で悪化した。平均眼圧はクリーム塗布前が13.7mmHg,塗布後が13.1mmHgであった。結論:下眼瞼へのクリーム塗布で,ラタノプロスト点眼による下眼瞼の多毛または色素沈着を予防できる可能性がある。
参考文献
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