icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻3号

2007年03月発行

文献概要

文庫の窓から

『類證辨異全九集』所載の眼目門

著者: 中泉行弘1 林尋子1 斎藤仁男1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.456 - P.458

文献購入ページに移動
 わが国の室町時代半には多くの若い僧侶たちが中国明(みん)国に渡り,彼地で諸々のことを学び帰国したといわれている。こうした入明の僧の一人に月湖を挙げることができる。

 月湖については諸説があり確証はないようであるが,潤徳斎と号し,明監寺と称し,享徳2年(1453)に明国に渡り銭塘(現中国浙江省杭州,銭塘江近郊?)に住し,『全九集』を1452年(明の景泰3年序)に,1455年に『済陰方』を著わしたといわれている。これらはともに江戸再版本が現存する。しかし「両者は月湖に仮託して編纂された可能性が高く,月湖その人も虚構との説が有力」(真柳 誠,医学大辞典,医学書院,2003)であるといわれている。

参考文献

1)曲直瀬道三:能毒上・中・下.書林道也,1633
2)永田調兵衛:廣益書籍目録大全.巻4.永田調兵衛,1692
3)奈須柳村:本朝医談.揚柳居蔵板,1822
4)廖温仁:支那中世医学史.カニヤ書店,1932
5)浅田栗園:皇国名医伝.前篇巻下.勿誤薬室蔵,1873
6)富士川游:日本医学史.日新書院,1943
7)中泉行正:我国医学の発展と全九集.綜合医学 15:9,1958
8)東亜医学協会:日本の漢方を築いた人々.漢方の臨牀 19:11-12,1962
9)矢数道明:近世漢方医学史.名著出版,1982
10)柳田征司:曲直瀬道三 類證辨異全九集.勉誠社,1982
11)小曽戸洋:中国医学古典と日本―書誌と伝承.塙書房,1996
12)遠藤次郎・中村輝子:「全九集」の編纂者とその意図.日本医史学雑誌 44:230,1998
13)遠藤次郎・中村輝子:田代三喜が中国から持ち帰ったといわれる「大徳済陰方」の検討.日本医史学雑誌 45:266,1999
14)遠藤次郎・中村輝子:曲直瀬道三の前半期の医学(1)「当流」の意義.日本医史学雑誌 45:323,1999
15)遠藤次郎・中村輝子:「導道・三喜別人説」の検討.日本医史学雑誌 44:481,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら