icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

連載 日常みる角膜疾患・49

アトピー性角結膜炎

著者: 近間泰一郎1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野

ページ範囲:P.484 - P.486

文献購入ページに移動
症例

 患者:32歳,男性

 主訴:視力障害,眼脂

 現病歴:2005年2月より前医でアトピー性角結膜炎の診断のもと0.1%フルメトロン®,ザジテン®,ヒアレインミニ0.1%®の点眼により症状は落ち着いていた。同年12月左眼角膜のほぼ中央部に潰瘍が発症した。いったん治癒したが約1か月後に潰瘍が再発し,病巣部からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が検出された。感受性を有したハベカシン0.5%®点眼,ミノサイクリン内服で加療するとハベカシン®に耐性が生じ,0.5%バンコマイシン®点眼,コリマイC®に変更,しかし症状の改善が得られないため2006年3月当科を紹介された。

 既往歴:約5年前よりアトピー性皮膚炎,3年前に両白内障手術。

 初診時所見:視力は右0.07(矯正不能),左0.01(矯正不能),眼圧は右15mmHg,左18mmHg,細隙灯顕微鏡検査では,両眼とも高度の点状表層角膜症(A3D2~3)および角膜中央部に角膜混濁がみられた。特に左眼は血管侵入を伴い浸潤性変化を強く認めた。また,球結膜は中等度の充血がみられ,瞼結膜は浮腫を伴った強い充血とビロード状の肥厚がみられた(図1,2)。

 4月初旬から入院のうえ,バンコマイシン®の点滴および点眼,多量の眼脂に対して1日4回の洗眼を点眼前に徹底した。眼脂が減少した2週間後から消炎を図る目的でリンベタPF®点眼を開始した。以降,結膜の炎症所見および角膜の浸潤性変化は軽減し,左眼視力は0.07(矯正不能)に改善した。約1か月半後の結膜眼脂培養検査ではMRSAは検出されなくなった。11月に行った検査でもMRSAは検出されておらず,現在は,生理食塩水による洗眼とベストロン®と0.1%フルメトロン®で経過観察を行っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?