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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

ヒト結膜囊に寄生した東洋眼虫の形態的特徴

著者: 金子明生1 児玉俊夫1 石川明邦1 島村一郎1 西谷元宏1 鄭暁東1 大槻均2 鳥居本美2 首藤政親3

所属機関: 1松山赤十字病院眼科 2愛媛大学大学院医学系研究科寄生病原体学分野 3愛媛大学総合科学研究支援センター重信ステーション生物機能解析分野

ページ範囲:P.531 - P.536

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要約 目的:ヒト結膜囊に見出された線虫の微細構造を観察することで同定できた東洋眼虫の形態的特徴の報告。症例:12月に77歳女性の左結膜囊より3隻の線虫を摘出し,光顕と走査電顕により虫体を観察した。結果:3隻の虫体は白色の糸状であり,体表に横紋理がみられた。歯牙の欠如した6角形の口腔から二分されていない食道,腸管に続き,食道の中央部に神経輪を有していた。陰門とそれに続く子宮に多数の被鞘幼虫を認め,尾部に交接刺が存在しなかったことから東洋眼虫の雌と同定した。結論:冬季に摘出された東洋眼虫の雌の子宮には多数の幼虫が存在していたことから,媒介昆虫の活動する春季に第1期幼虫を産出できるように生活史を合わせたと考えられる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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