icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

メルファランを使用する局所化学療法が著効した両眼性網膜芽細胞腫の1例

著者: 金子明博1 金子卓1 高木誠二1 竹内忍1 毛利誠2

所属機関: 1東邦大学医療センター大橋病院眼科学教室 2東邦大学医療センター放射線科学教室

ページ範囲:P.609 - P.614

文献購入ページに移動
要約 目的:難治性網膜芽細胞腫に対し,メルファランによる保存的治療法が奏効した症例の報告。症例:台湾で出生した女児が生後1年9か月で両眼の網膜芽細胞腫と診断された。両眼ともReese-Ellthworth分類のVbであった。ビンクリスチン,エトポシド,カルボプラチンの3剤併用による全身化学療法を6コース受けたが完治せず,他の3剤併用による化学療法をさらに3コース受けた。腫瘍が不活性化しないため,放射線外部照射が両眼に行われ,右眼には冷凍凝固と光凝固とが行われた。右眼に硝子体出血が発症し,生後2年10か月で当科を受診した。所見と経過:右眼に腫瘍と硝子体播種,左眼に腫瘍があった。メルファランの選択的眼動脈注入と硝子体注入を行い,さらに灌流液にメルファランを加えた硝子体手術を行った。生後3年10か月の検査で左右眼とも腫瘍の再発または転移はなく,矯正視力は右光覚弁,左0.07であった。結論:難治性網膜芽細胞腫に対し,筆者らが開発したメルファランによる保存的治療法は有効かつ安全であった。

参考文献

1)Shields CL, de Potter P, Himelstein BP et al:Chemoreduction in the initial treatment of intraocular retinoblastoma. Arch Ophthalmol 114:1330-1338, 1996
2)Yamane T, Kaneko A, Mohri M:The technique of ophthalmic arterial infusion therapy for patients with intraocular retinoblastoma. Int J Clin Oncol 9:69-73, 2004
3)Kaneko A, Suzuki S:Eye-preservation treatment of retinoblastoma with vitreous seeding. Jpn J Clin Oncol 33:601-607, 2003
4)金子明博・金子 卓・竹内 忍・他:網膜芽細胞腫の硝子体播種に対する新しい治療法の提案.眼臨 101:38-41, 2007
5)Inomata M, Kaneko A:Chemosensitivity profiles of primary and cultured retinoblastoma cells in a human tumor clonogenic assay. Jpn J Cancer Res 78:858-868, 1987
6)Warden SM, Mukai S:Pars plana vitrectomy in eyes treated for retinoblastoma. Retina 26:S53-S56, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?