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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

臨床報告

前立腺癌の転移による眼窩先端部症候群の1例

著者: 戸田桃子1 飯島康仁2 高野雅彦3 湯田兼次4 樋口亮太郎1 水木信久2

所属機関: 1横浜南共済病院眼科 2横浜市立大学医学部眼科学教室 3北里大学医学部眼科学教室 4きくな湯田眼科

ページ範囲:P.657 - P.660

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要約 目的:前立腺癌の転移で眼窩先端部症候群が生じた症例の報告。症例:48歳男性が6週前からの左眼視力低下で受診した。矯正視力は右1.2,左0.01であり,眼底に異常はなかった。左眼上方を除き視野が欠損していた。経過:球後視神経炎の疑いで副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行った。6日後に左眼視力は零になり,左眼の内転不全麻痺と左前額部の知覚低下が生じた。磁気共鳴画像検査(MRI)で左眼窩先端部に径2cmの腫瘤が発見された。全身検査で骨転移を伴う前立腺癌が発見された。保存的治療を行い,10か月後に眼窩腫瘤は消失したが視力は回復しなかった。結論:球後視神経炎が疑われても,悪性腫瘍などの全身疾患が関与していることがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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