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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻5号

2007年05月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

若年で発症し5年の間隔をあけ僚眼に発症したと考えられた単純ヘルペスウイルスによる急性網膜壊死

著者: 柞山健一12 渋谷悦子1 椎野めぐみ1 竹内聡2 三上武則1 遠藤要子1 伊藤典彦1 石原麻美1 中村聡1 林清文1 水木信久1 矢吹和郎3 佐藤真美1 野村英一1 栗田正幸1

所属機関: 1横浜市立みなと赤十字病院眼科 2横浜市立大学医学部眼科学教室 3小田原市立病院眼科

ページ範囲:P.751 - P.755

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要約 目的:単純ヘルペスウイルスによる急性網膜壊死が5年前に僚眼にも発症していたと推定される若年例の報告。症例:19歳女性が左眼の充血と眼痛で受診した。5年前に網膜剝離があり,硝子体手術を受けていた。矯正視力は右50cm手動弁,左(1.2)であった。右眼にはシリコーンオイルが充填され,虹彩後癒着が全周にあった。左眼には虹彩炎,硝子体混濁,眼底下方に黄白色滲出斑があった。経過:前房水のPCR検査で単純ヘルペスウイルスが検出され,これによる急性網膜壊死と診断した。即日入院のうえ,アシクロビル点滴と副腎皮質ステロイドの全身投与を行った。左眼視力は(0.1)に低下したが,3週後に(0.9),1年後の現在(1.2)に回復し,再発はない。結論:急性網膜壊死が疑われる症例では,房水のPCR検査などによる早期の診断と治療が望まれる。

参考文献

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13)関 文治・頼 徳治・後藤 浩・他:桐沢・浦山型ぶどう膜炎の手術療法.眼臨 86:1912-1916,1992
14)古屋敏江・今井雅仁・秋山博紀・他:桐沢型ぶどう膜炎の硝子体手術.臨眼 58:223-227,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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