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特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(3)
原著
文献概要
要約 目的:副腎皮質ステロイドのパルス療法で治療し,再発を繰り返した原田病症例の報告。症例と経過:24歳男性が2日前からの両眼の変視症で受診した。矯正視力は右0.8,左1.2で,両眼の後極部に漿液性網膜剝離があり,蛍光眼底造影所見と合わせ原田病と診断した。1日200mgのプレドニゾロンを投与したが,3日後に投与量を漸減すると直ちに漿液性網膜剝離が再発した。1日1gのメチルプレドニゾロンによるパルス療法に切り替えたが,維持量にすると再発し,これを3回繰り返した。1日200mgのシクロスポリンによる併用を開始し,3日後に網膜剝離は消失した。発症から1年後の現在まで再発はない。結論:副腎皮質ステロイドのパルス療法で再発を繰り返す原田病には,ステロイドとシクロスポリンの併用投与が奏効することがある。
参考文献
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