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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻5号

2007年05月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

アカントアメーバ角膜炎3例の治療経験

著者: 森紀和子1 太田浩一1 杉本知子1 永野咲子1 渋木宏人1 村田敏規1

所属機関: 1信州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.827 - P.832

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要約 目的:ソフトコンタクトレンズ(SCL)装用中に発症したアカントアメーバ角膜炎3症例の報告。症例と経過:3症例とも女性で,年齢は32,33,44歳であった。それぞれ毎日装用使い捨てSCL,連続装用使い捨てSCL,連続装用非含水性SCLを使用していた。連続装用をしていた2例は,SCLを水道水で洗浄していた。いずれも片眼に発症し,2例では放射状角膜神経炎,1例には偽樹枝状病変があった。2例では角膜擦過標本にアカントアメーバが検出された。全例に抗真菌薬の局所投与と角膜搔爬を行い,2例にはクロルヘキシジンを点眼した。抗真菌薬と角膜搔爬が奏効しない1例にはpolyhexamethylene biguanide(PHMB)点眼を追加し,急速な消炎を得た。結論:SCL長期装用に伴うアカントアメーバ角膜炎では早期診断と早期治療が望ましい。抗真菌薬と角膜搔爬が無効な難治例にはPHMB点眼が奏効することがある。

参考文献

1)石橋康久:アカントアメーバ角膜炎.あたらしい眼科 20:1401-1402,2003
2)小林 顕・石橋康久:アカントアメーバ角膜炎.あたらしい眼科 19:1005-1010,2002
3)石橋康久・木村幸子:アカントアメーバ角膜炎の診断と治療.眼科 33:1355-1361,1991
4)Larkin DF, Kilvington S, Dart JK:Treatment of acanthamoeba keratitis with polyhexamethylene biguanide. Ophthalmology 99:185-191, 1992
5)Duguid IG, Dart JK, Morlet N et al:Outcome of acanthamoeba keratitis treated with polyhexamethyl biguanide and propamidine. Ophthalmology 104:1587-1592, 1997
6)塩田 洋・矢野雅彦・鎌田泰夫・他:アカントアメーバ角膜炎の臨床経過の病期分類.臨眼 48:1149-1154,1994
7)北川和子・藤沢 綾・青山繁樹・他:クロルヘキシジン点眼が有効であったアカントアメーバ角膜炎の1例.あたらしい眼科 17:833-837,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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